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40年愛され続けるロングセラー 『雪肌精』の誕生秘話 ~白がダメなら、“雪”があるじゃないか~
「人的資本」「人的投資」という言葉が叫ばれているように、「ひと」はもっとも重要な経営資産です。コーセーでは今から80年近く前の戦後間もない創業当時から、創業者の小林孝三郎は『誠実を旨とする 経営六大方針』のひとつに「人材の育成」を掲げ、経営戦略の大きな柱と位置付けてきました。社内でも、これまでの長い歴史の中で変わらず、ひとが主役の会社ということをよく耳にします。今回は、「コーセーの人」にフォーカスし、人事部 人材・組織開発室の佐伯 喜和さん・前川 怜央さんや各部門の社員にその文化や社風について聞きました。
写真左:人事部 人材・組織開発室 佐伯 喜和
大阪府出身。2018年コーセーに中途入社。入社後は、情報統括部基盤開発課でネットワークインフラの構築と運営に従事。現在は、人事部 人材・組織開発室にて教育制度の拡充に努めている。
写真右:人事部 人材・組織開発室 前川 怜央
愛知県出身。2019年コーセーに入社。初任配属で大阪の支店に在籍し、GMSチャネルやドラッグストアの企業窓口を担当。現在は、人事部 人材・組織開発室に在籍し、社員の研修業務に従事。
佐伯 私は、2018年に中途でコーセーに入社しています。前職では、IT企業でネットワークエンジニアを務めていました。ある日ふと、この先のキャリアを考えた時に、自分の好きなものに携わる仕事がしたいと思って化粧品会社への転職を決意しました。IT業界の経験を活かせることと、化粧品事業会社であることを必須条件に『化粧品 中途 社内SE』で検索すると、ちょうどコーセーの情報統括部が求人をしていました。これまでも、いいなと思って手に取った商品は、コーセーのものが多く、自分とのフィーリングや感性が合っているメーカーだと感じていたので、タイミングの妙に震えながら、即応募しました。最終的には面接や諸手続きを通してとても『人』の良さを感じたので、入社を決めました。
前川 私は、「人を笑顔にできる仕事」という軸で就職活動をしていました。中学・高校の時からスキンケアを使用していたこともあり、皆を笑顔にできるこの商材に魅力を感じ化粧品業界を志望しました。スキンケアで肌が綺麗になったら笑顔になり、朝メイクがうまくいったら1日ずっと楽しくいられます。
その中でもコーセーを選んだ理由は2点あって、一つ目はブランドマーケティングに魅かれた点です。ブランドごとに違う世界観が確立され、しっかりと一人ひとりに寄り添った商品づくりや提案ができています。だからこそ、コーセーは多様なニーズに対応することが出来ると確信しました。二つ目は、『人』。私は、インターンにも参加していたのですが、その時出会った社員の方の影響がすごく大きいです。親身に聞いてくれる人が多かったこと、また、この会社に入ったら自分は成長できるかもしれない、自分自身の可能性が追求できるのではないかと感じました。親身に寄り添ってくれるだけではなくて、その場の環境や空気づくりも温かく、すごく安心することができました。現在、私は社員の研修に携わっているのですが、入社理由を聞くと、私と同じくコーセーの『人』に魅力を感じたという人が多くいます。
前川 最初の配属は、関西ストア支店という大阪の営業所でした。そこでの仕事は、ビューティコンサルタント(以下、BC)や店舗の従業員様と協力してどのように売り上げを作っていくかを考え、目標を達成すること。そして何より、化粧品でお客さま一人ひとりに喜んでいただくことが仕事です。大阪の支店には、4年半在籍していたのですが、3年半は総合スーパーなどのGMSチャネルの店舗を担当し、最後の1年はドラッグストアの企業窓口をしていました。思い出に残ることとしては、私が2年目に入ってすぐ、コーセーの中でGMSチャネルの実績が全国No.1のお店を先輩から引き継いだことです。2年目でこんなに大きなお店を担当させてくれるのかと非常にやりがいを感じ、さぁ頑張るぞという矢先に新型コロナウィルスが流行してしまいました。営業活動はもちろん、コロナ禍で、お客さまの来店が少なくなってしまって・・・どのような活動で売上を立て直していけるか苦悩する日々でした。
前川 それはもう大変でした。先輩から店舗を引き継いだ直後に新型コロナウィルスの流行が拡大したため、店舗の従業員様とコミュニケーションがあまりとれておらず、関係性も構築できていませんでした。立ち止まっていても何も始まらないと、週に何度も何度もお店に足を運びました。従業員様との対話を重ね、一緒に地道な作業をしていくと、どんどん相手の考え方が分かり、理想の店舗像や考えを共有できるようになりました。次第に「根性あるね」と認められ、担当者の方とも信頼関係が築け、スムーズに活動が進むようになりました。その時の上司が、“やりたいようにチャレンジしてみて”と仕事を任せてくれたおかげで、自由な発想でチャレンジすることができました。
この状況下で、みんなで出した答えは、隣接する大学の文化祭へコーセーブースを出店することでした。もちろん前例はありませんし、中にはブースの出店で本当に学生さんの来店につながるのかと懐疑的な意見もありましたが、まずは自ら交渉にあたり、粘り強く説明を続けることでブースの出店にこぎつくことができました。この出店をきっかけに、チームの士気をさらに高めることができ、店舗の売上目標を達成することができました。この経験があったことで、言われることをこなしていくだけではなく、自分から動いたからこそ進んでいける、本当に自分次第で状況は開いていくのだと感じました。
佐伯 私も、一番印象的で大変だったのはコロナ対応の業務だったのかなと思います。誰も経験したことがない事態でしたから。情報統括部のミッションは、皆さんがどこでも仕事が出来る環境を整えることでした。外に出られないと営業活動もできませんし、BCもお仕事ができない。コーセーの事業が止まってしまうという危機が目の前に迫っていましたから、とにかく私たちが非接触でも業務ができる環境やデジタル化を進めるため駆けずり回って対応にあたりました。部内の担当ではない人までも総動員で、機器のセットアップや全国への荷物の配送など細かい作業をひたすら行い、本当に全員で乗り越えたということをすごくよく覚えています。
特に印象に残っている出来事があります。急遽支店に何十台も電子機器を送る必要が発生し、その物量に対する時間の不足から私は半ば諦め状態だったのですが、その当時の職制は、最後まで支店のことを考えて、とにかくやれることは全て自ら実行し、メンバーも鼓舞していました。そんな状況を間近で見て、ベストを尽くすということは、こういうことなのだと痛感しました。情報統括部の、社内のシステム業務を止めない、事業を止めないという使命感を改めてインストールした出来事でした。コロナ禍は初めての出来事ばかりで、みんな本当に不安だったと思います。コロナ禍は、コーセーの人の強みでもある“難しい局面での団結力”を発揮した場面がたくさんあったと思います。
前川 どこの部署でもそうだと思うのですが、一人でできる仕事はないなと感じています。営業の時だと、最終的に商品を販売してくれるのはBCや従業員様です。自分一人で進むのではなく、みんなと一緒にベクトルを合わせて進んでいく、そういう人のつながりや周りの方の協力を得る力は非常に大事だと思います。人事部でも、分からないことがあれば、上司や先輩がたくさん相談にのってくれますし、部署を超えてアドバイスをもらうこともできて、本当に温かい環境がコーセーにはあると感じます。一人でできる仕事はないので、いろんな人を巻き込んで成果を出していく必要性を学びました。
佐伯 コーセーでは、関わる部署がとても多いと感じます。それだけ任せてもらえる業務が幅広いというのもあるかもしれません。前の部署でも、人事部でも感じることですが、特定の部署だけではなくて、グループ会社や海外の子会社等、会社全体と関わって仕事ができているなと思います。バトンタッチで仕事を進めるというよりも、みんなで一つの目標に進んでいくイメージです。部署や役職にとらわれない風土があり、皆が役割や年齢に関係なく一緒になって取り組むので、多様な人と関わる中で学ぶことが非常に多いですし、新しいアイデアが日々生まれます。それこそ情報統括部では、社員が求めるシステムという起点で新しいサービスや、より良いものを生み出していく必要があるため、その関わりから多くの気づきがあります。人事部も同じで、社員の人たちが働きやすく、より成長できる環境を日々考えているので、現場の声が非常に重要で、たくさんの人との関わりの中で経験値を積めていることは、本当に大きい学びになっています。
佐伯 コーセーには“誠実”“助け合う関係”“真面目”な社員が多いという声が多いのですが、本当にその通りだなと思います。書類を提出してくださいねとお願いすると、少し煩わしいものも、皆さんきちんと提出してくれますし、期限を守ってくれます。社内のちょっとしたアンケートにもみんな丁寧に答えてくれる。そういった“協力の精神”や“誠実さ”を心の根っこに持っていらっしゃる方が多いと感じますし、この会社にいると自然にそうなるのだと思います。また、私の上司の話ですが、本当にびっくりするくらい社員の顔と名前が一致しているんです。本人は「採用とか教育で関わるから自然に覚える」のだとおっしゃるのですが、それだけ社員と向き合っている証拠だと私は思います。本当に一人ひとりを大切にしている会社だと私は人事部に来てすぐ感じました。創業者の座右の銘でもある「正しきことに従う心」が今にも脈々と受け継がれていますね。
前川 私は、どの年代の人も柔軟な人が多いと思っています。素直に人の意見を聞き入れ、アドバイスをもらったら自分の意見にプラスして、他の良い意見を取り入れて、どんどん良くしていくようなイメージの人が多いと感じます。新入社員でも、今後こういう風にしたらより良いよねとアドバイスをすると、受け入れて次からしっかり切り替えて行動しますし、上司でも考えを伝えると、一回受け入れて、そこから対話を重ねながら対応してくれる。安心して幅広く話せますし、多面的にアドバイスをいただけるので心強いですね。いろいろな意見をしっかり引き入れ、柔軟に対応できる人が多いと感じています。
佐伯 新中長期ビジョンでは、人的資本の定量目標にグローバルキーポスト充足率※1を打ち出し、全社的にもグローバル化の加速が求められています。それに対して人事部としては、グローバル化に対する社員の意識を向上していく必要があると感じています。ただ、外国語が話せればグローバル人材なのかというと、必ずしもそういうわけではないと思います。今後、異文化の中で成果を出していくためには、コーセーの人の特長でもある“誠実”“助け合う関係”“真面目”という特質は重要な要素ではないかと思っています。独りよがりではなくて、現地に溶け込んで一緒に同じ目線で何かをやっていく際に、優しさや、助け合いの精神が発揮されるはずです。もちろんそこには、多様な価値観を受け入れるという前提があって、その中で自らの意見もしっかり伝えられることがグローバル化のカギになると思います。
※1 グローバルキーポスト人材÷キーポスト数で算出
前川 ダイバーシティという面で考えると、コーセーの人の特長である“柔軟であること”はすごく大事だと思います。言語だけではなくて、それこそ、相手の考えを一度受け止めいろいろな角度から仕入れた意見を出すことも大切で、柔軟に対応出来る人材がもっと増えると、きっと化学反応が起きてイノベーションが起きると思います。さらに、ポジティブマインドを持ち、突破力や挑戦の手を止めない人が未来を創っていくと思いますし、コーセーが一緒に働きたいと考える人材でもあります。嫌なことがあって落ち込んでしまう人もいれば、この経験があったからこそより成長できると考える人もいる。試験の時にあと30分しかないと考えるか、あと30分もあると考えるかと同じです。辛い時に、この経験があるから成長していけるとポジティブに物事を捉え挑戦していくことができれば、今の自分にプラスアルファの力がつくのではないかと信じています。社長の小林も「失敗は財産だ」「どんどんチャレンジしてほしい。失敗は全く問わない。野球の三振と一緒で3回まで失敗していい(笑)」と言っています。
今回は人事部のお二人からお話を伺いましたが、創業者である小林孝三郎がコーセーを創業したときに抱いた創業の精神でもある『誠実を旨とする 経営六大方針』が今のコーセーにも脈々と受け継がれています。「優秀な商品」、「理想の販売組織(コーセー リングストア システム)」、「正しいPR」、「堅実なる経営」、「人材の育成」、「労使の協調」という六大方針の中で、特にこの「人材の育成」には創業者に思い入れがありました。「事業は人なり」と考え、「人間の能力には際限がないから、勉強にも際限はない」ということは小林孝三郎が実際の仕事から学んだ信念。常々、経営者も幹部社員も自ら勉強して、優れた人材を育てる必要があると考えていました。そのため社員だけでなく、私たちのパートナーである化粧品店のスタッフの皆さまが知識や技術を身につける機会の提供にも力を注いでいました。現在、コーセーが掲げる「KOSÉ Beauty Partnership」=すべてのステークホルダーと互いに高めあう関係性を構築するという価値観は、このように創業当初から根付いていました。
【営業部門:コーセー化粧品販売(株) 松田 仁】
コーセーには、責任感と思いやりがある誠実な社員が多く在籍しています。支店では、新入社員からベテラン社員まで幅広い年代が活躍しており、どの世代の社員も“相手に寄り添うこと”を大切に、良好なコミュニケーションを築いています。例えば、ベテラン社員が新入社員に気軽に声をかけたり、談笑する姿をよく目にします。こうした世代を超えた温かい交流は、コーセーならではの職場文化であり、社員同士の信頼関係を深めています。また、社員の一人一人の根幹にあるのが、創業者・小林孝三郎の座右の銘でもある「正しきことに従う心」です。この言葉は、コーセーの行動憲章として長年受け継がれ、私たちの活動を導く指針となっています。誠実さを忘れず、相手に寄り添う気持ちを持ちながら、「コンサル営業」としてご販売店様、そして何よりお客さまに寄り添い、信頼される企業であり続けたいと考えている社員が多いように思いますし、そういう社員が夢や希望を叶えているとも感じます。
【経営企画部門:経営企画部 佐藤 仁美】
入社して以来、長く働き続けられるのは「コーセーのひと」に囲まれているからだと思っています。人に興味があり、“おせっかい気質”。仕事上の関係だと完全に割り切ることなく、人との縁を大切にして、親身になって話を聞き助け合う文化があります。その文化に私自身も支えられてきましたし、次の世代にもしっかりと引き継いでいきたい思いです。経営企画は企業価値を高めていくために会社方針を検討していく部門ですが、メンバーは皆、自分の頭の中だけでロジカルに考えるのではなく、戦略を練る際も社員一人ひとりの顔や、当社に関わるすべてのステークホルダーの皆さんをいつも思い浮かべている人が多いように思います。当社の「ありたい姿」に掲げている「Your Lifelong Beauty Partner」はまさに当社らしさを表現した言葉。人の温かみが滲み出ています。
【企画部門:戦略ブランド事業部 市成 みゆき】
企画部門は、部門内で完結する仕事はほとんどなく、研究所をはじめ多くの人と関わりながら商品をつくります。ブランドに関わる全ての人が、モチベーション高く、それぞれの想いを持って取り組む中で、様々なハードルが出てくることがあります。そんな立ち止まってしまった時も、コーセーには、部署に関わらず声を掛け合ったり、先輩方にも安心して相談できる環境があります。逆に、先輩から相談されることもあり、一人で抱え込まず、いろんな人とコミュニケーションを取ることで、新しい発見が日々生まれています。これからも、皆の想いを一つに繋げ、実現が難しいと思われることにも果敢に挑戦していきます。そして、お客さまが輝けるような商品を生み出し続け、今まで脈々と培われてきたブランドの価値や魅力をより多くの人に知ってもらいたいです。