安全性

安全性が最優先

コーセー研究所では、心からご満足していただける化粧品をご提供するために、新しい成分やこれまでになかった製剤技術、そして新しい使用方法まで、様々な視点から研究開発を行っています。その中で、お客さまの大切な肌と健康のために、安全性を最優先に確保し、お客さまに安心してご使用頂けることを、最も重要な基本的事項としています。コーセーの行動憲章である「正しきことに従う心」の信念のもとに、厳しい独自の自社基準を設けて化粧品の安全性研究を行なっています。

製品の安全性確保のための体制

コーセーでは、化粧品原料の開発と、その原料を配合した製品開発の2段階で、厳しい自社基準に基づく安全性の評価を行い、安全性品質が確保された製品をお客さまにご提供しています。万が一、市場で安全性の問題が発生した場合には、店頭やお客様相談室などの接点を通じて、品質保証部を中心に直ちに社内で適切に情報を共有し、お客さまへご対応させていただくとともに、その経験が当該製品の改良や次の製品開発に活かされるよう、社内のしくみを構築しています。

ご参考

化粧品の安全性研究における方針

コーセーグループは、安全性を最優先としながら、動物実験を行わない方針で化粧品(医薬部外品を含む)の開発を進めています。

万一、社会に対して安全性の説明責任が生じた場合や、一部の国において行政から求められた場合を除きます。

詳細は、こちらをご参照ください。

化粧品の安全性確保の流れ

化粧品の安全性を確保するために、大きく分けて「原料」「製品」の2段階での確認を行なっています。
化粧品用の原料は全て、まずは原料そのものに対して安全性評価を行います。
その結果を元に使用可否を判断し、使用可となった原料のみを用いて製品開発を行います。さらに、製品となった段階でも必ず安全性評価を実施して、使用方法などもふまえて問題がないかを総合的に確認し、発売の可否を判断します。
各段階の安全性評価の方法としては、社内外の安全性情報の確認や、細胞試験など動物実験代替試験法を用いた確認、ヒトによる確認試験を行なっています。
発売したものについては市場情報(お客様の声や医療機関からの問い合わせ)を集約し、原料や製品の安全性評価に反映させることができるように社内システムを構築しています。

「原料」の安全性確保のステップ

(1) 情報の確認【データベース、in silico ※ 評価手法の活用】

社内外の情報を確認し、安全性上のリスクを調査します。これまでの原料評価を通じて積み重ねた知見や、試験データなど社内の情報をはじめ、それ以外にも、論文や公的機関による報告書、データベースなどの社外の情報も幅広く活用します。
また、原料の化学構造や特性からin silicoでのシミュレーションを行い、毒性を予測する場合もあります。

(2) 細胞試験などによる確認【動物実験代替試験法の活用】

コーセーでは、安全性を最優先としながら、動物実験代替試験法を活用し、動物実験を行わない方針で化粧品(医薬部外品を含む)の開発を進めています。代替試験法では、培養細胞などを利用した試験を行い、皮膚や眼に対する刺激性、アレルギー性などを評価します。それぞれの試験に適した細胞、または細胞などからなる三次元モデル(たとえば再構築ヒト表皮モデルや再構築ヒト角膜様上皮モデルなどがあります)を用いて試験を行います。
場合によっては、製品の評価においても再度同様の確認を行い、より厳密に判断することもあります。
動物実験代替試験法による安全性の評価方法は、現在も世界中で開発がすすめられています。日本でも化粧品メーカー各社が協力、分担して開発が進められており、コーセーも代替試験法開発とその活用に鋭意取り組んでいます。

  • 動物実験代替試験法に使用する培養細胞
  • 皮膚刺激性などを評価するときの細胞毒性測定(赤い色素が濃いところほど細胞数が多い)

細胞試験などによる主な安全性評価方法

  • 眼刺激性評価・皮膚刺激性評価:原料または製品の、細胞への毒性を測定します。細胞毒性の程度によって、眼刺激性あるいは皮膚刺激性の有無を判定します。
  • 光毒性評価:原料または製品を添加後、光(紫外線または可視光)を照射し、その後細胞への毒性を測定します。光を照射した時の細胞毒性の変化の程度によって、光毒性の有無を判定します。また、これとは別に、細胞を用いず、原料または製品に紫外線を照射したときに生じる活性酸素種を測定して、光反応性の有無を評価する方法もあります。
  • 感作性(アレルギー性)評価:生体内で起きるアレルギー反応の一部を再現した試験系に原料を添加した後、アレルギー性の反応を検出する試薬を用いてアレルギー性の有無を判定します。生体内で起きる反応は非常に複雑なため、各反応プロセスに対応した複数の試験法があり、それらの試験法を組み合わせて評価しています。
  • 遺伝毒性評価:原料を微生物や細胞に添加して、DNAや染色体など遺伝情報を持つ部分に与える毒性を測定します。通常の環境では生育できない特殊な微生物を使用し、遺伝子が突然変異することで生存できるようになる菌の数や、細胞の染色体の数・構造の変化の程度を観察して、遺伝情報への障害性の有無を判定します。

ヒトでの最終確認【専門のヒト評価パネルによる評価法】

(1)(2)での検証が終了したら、専門のヒト評価パネルによる試験を行い、刺激性やアレルギー性がないことなど、最終的な安全性を確認します。その結果をもとに、原料を製品に配合できるかどうかを判断します。
原料評価の際に行う主なヒト試験には、パッチテスト、アレルギーテスト、スティンギングテストなどがあります(各テストの詳細はこちら)。

「製品」の安全性確保のステップ

(1) 情報の確認【データベース、市場情報の活用】

製品評価においても、各種情報から安全性上のリスクを調査します。社内で蓄積した知見や試験データのほか、これまでに発売した製品での販売実績やお客様からのお問い合わせ、医療機関からのお問い合わせ内容などの市場情報についても確認します。

(2) ヒトでの最終確認【専門のヒト評価パネルによる実使用に近い評価法の活用】

原料評価と同様、ヒトによる試験を行って最終的な安全性を確認します。製品評価では特に、実際の使用方法に近い状態での評価を重視します。
その結果をもとに、製品として発売し、お客様にお使いいただけるかどうかを判断します。
また、「○○テスト済み」など、安全性に関わる各種表記が可能かどうかも確認します。

ヒトによる主な安全性評価方法

〈パッチテスト〉

皮膚に対して刺激性がないことを確認するための試験です。
パッチテスト用の絆創膏の上に一定量のサンプルを載せ、肌に貼付して24時間または48時間保持します。絆創膏を剥がした後、最大5日後まで、貼付部位の赤みや腫れを専門の判定員により観察し、刺激の程度を判定します。
特に、「パッチテスト済み」と表記する製品に対しては、本試験を実施して皮膚科医により判定を行い、刺激性が低いことを確認しています(すべての方に皮膚トラブルが起こらないということではありません)。

〈アレルギーテスト〉

皮膚に対してアレルギーを起こさないことを確認するための試験です。
パッチテストを週3回、3週間行った後、2週間の休止期間を経て、再度パッチテストを行い、皮膚反応が出ないことを確認します。
特に、「アレルギーテスト済み」と表記する製品に対しては、通常製品よりも厳格な処方基準をクリアした上で、本試験でアレルギー性の評価をしています(すべての方にアレルギーがおこらないということではありません)。

〈スティンギングテスト〉

化粧品における「スティンギング」とは、赤みや腫れとは別の、ピリピリ・チクチクとした感じやかゆみなどの感覚刺激(皮膚刺激感ともいいます)のことをいいます。化粧品に配合される特定の成分で、このような感覚刺激を感じる人もいるため、そのような人に配慮し、スティンギングテストによって感覚刺激を感じないことを確認しています。
スティンギングテストは、予め選別した感覚刺激に敏感な被験者にて行います。被験者の頬にサンプルを塗布するか、想定される使用方法で使用させ、一定時間後の感覚刺激の程度を被験者自身が申告します。
特に、「スティンギングテスト済み」と表記する製品に対しては、適切な処方基準をクリアした上で、本試験で感覚刺激の程度が低いことを確認しています(すべての方に皮膚トラブルがおこらないということではありません)。

〈ノンコメドジェニックテスト〉

コメドとは、角質と脂質が混ざったものが毛穴の上部に詰まった状態になり、白い丘疹として見えるもので、ニキビのもとになるものです。
ノンコメドジェニックテストとは、ヒトの皮膚に対してこのコメドが出来ないことを確認するための試験です。
4週間にわたりパッチテストを繰り返し行うか、想定される使用方法で使用させた後、コメドが出来ているかを確認します。
特に、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記する製品に対しては、適切な処方基準をクリアした上で、本試験でコメドが出来ないことを確認しています(すべての方にコメドが発生しないということではありません)。

〈使用テスト〉

製品を想定される使用方法に基づいて使用したときに、使用部位あるいは全身に対して問題ないことを確認するための試験です。
被験者は一定期間使用した後、肌状態などについてアンケート等で回答します。また必要に応じて水分量などの各種肌パラメーターの測定を行うこともあります。

研究の強み