組織統治
当社グループでは、その行動指針の中核である『行動憲章』において、創業者の座右の銘で ある「正しきことに従う心」を掲げています。また、『コーセー サステナビリティ プラン』では、基盤となる6つの遵守するべき項目のひとつに「コーポレート・ガバナンスの徹底」を定めています。自らを律し、誠実で良識ある判断に基づき行動し、関わる人々の人権を尊重することで、お客さまをはじめ広く社会から信頼され、支持される企業となるよう全力を尽くすこととしています。
コーポレートガバナンス体制の構築
コーセーグループ行動指針
コーセーグループでは、「コーセーグループ行動指針」において、「行動憲章」として「正しきことに従う心」を掲げるとともに下記の「行動規範」を定めています。法令を遵守し、社会規範を守り、常に誠実で良識ある判断と行動をとるよう明文化し、社会から信頼される存在であり続けるよう努めることとしています。「コーセーグループ行動指針」はグループウェア上で常時役員・従業員で共有するとともに、国内の新入社員への教育研修を実施するほか、海外向けに5言語(英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語・ヒンディー語)に翻訳し、海外現地従業員へも同様に教育研修を実施しています。
コーセーグループ行動規範(概要)
1. 私たちは、お客さまや取引先様との関係において、以下の行動を約束します
- [1] 「お客さまにもっと近づく」お客さま志向を大切にします。
- [2] 優良で安全な商品を提供します。
- [3] 適切な情報・サービスを提供します。
- [4] 取引先様を適正に選定し、公正・倫理的な取引を行い、責任ある調達・購買を行います。
2. 私たちは、法令を遵守し、社会との関係において、以下の行動を約束します
- [1] 社会一般に対し、企業としての説明責任を果たします。
- [2] 自社の情報及び個人情報の適正な管理と保護を徹底します。
- [3] コーセー環境基本方針に則り、環境の保全に配慮し、持続可能な社会に貢献します。
- [4] 社会と常に対話と連携を図り、社会課題の解決に積極的に取り組みます。
- [5] 知的財産を適切に利用し、その権利の保全に努めます。
- [6] 政治、行政との健全かつ清廉な関係を保ちます。
- [7] 反社会的行為は行いません。又、反社会的勢力には毅然とした態度で臨みます。
- [8] すべての国や地域において慣習と文化を尊重し、その国や地域の法令を守ります。
3. 私たちは、社内や社員との関係において、以下の行動を約束します
- [1] 腐敗行為は行いません。
- [2] 社内規程及び社内ルールを遵守します。
- [3] 常に健全な職場環境を維持することに努め、差別につながる行為は一切行いません。
4. 経営者・管理者は、コーセーグループ行動指針の周知徹底を図ります
- [1] 本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、周知徹底を図ります。
- [2] コンプライアンス委員会を設置し社内外の声を常時把握し、意思疎通を深め、実効ある社内体制整備を行います。
リスクマネジメントとコンプライアンスの啓発
当社グループにおける「コンプライアンス」とは、法令遵守のみならず、「正しきことに従う心」をもって社会的倫理に則った行動をとることをいいます。このコンプライアンスの範囲には『コーセーグループ行動指針』に定めた倫理的行動の遵守が含まれます。
当社グループは「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、その下部組織として、リスクマネジメント推進委員会(個人情報保護管理委員会)、コンプライアンス推進委員会を配し各種の活動しております。その活動の一環として、定期的なコンプライアンス研修を行うなど、社員に向けた継続的な啓発を行っているほか、ソーシャルメディアポリシーを定め、リスクも見据えたソーシャルメディアの活用に向けても取り組んでいます。
リスクマネジメントの推進
当社グループでは、将来にわたる事業の継続性と安定的発展の確保のため、全社横断的な組織として、「リスクマネジメント推進委員会」を設置し、リスクを網羅的に洗い出し、定性的な分析・評価を行うとともに、甚大な影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、必要な対策を講じています。具体的には、毎年、関係会社および各部門の責任者へのアンケートを通じ て、リスク項目を抽出するとともに、「リスクが顕在化した場合の経営成績などの状況に与える影響」「リスクが顕在化する可能性の程度」の2つの評価軸で優先づけを行っています。リスクアセスメントで抽出したリスクは、リスクカテゴリーごとに集約し、「戦略リスク」「事業・財務リスク」「政治・経済リスク」「事故・災害リスク」「人事・労務リスク」「法令違反・賠償
リスク」に分類し、定期的にそれぞれのリスク対応の現状と進捗状況をモニタリングする仕組みを構築・運用しています。
また、各種法令や環境の変化の情報共有の場として、リスクマネジメント説明会を、役員・管理職・監督職に向けて毎年開催しています。全社的なリスクマネジメント・コンプライアンス推進活動の定着を目的として、近年の事例を取り入れながら、周知徹底の取組みを継続しています。
コンプライアンス研修
全社員(嘱託・パート含む)向け研修
2008年より毎年、コンプライアンスにおける重要なテーマから、コーセーグループの社員に対して、e-ラーニングまたは配布物を用いた教育を行っています。受講率は厳密に管理し、対象者全員の参加を促しています。内容は、日常の業務の中で生じかねない具体的な事例(情報漏えい、取引先様からの贈与、外国公務員への利益供与等々)から、ハラスメントの発生防止など、いかなる場合も、常に誠実で良識ある判断と行動を取ることができるよう、理解促進を目的に実施しました。
- 2017年度「ケースで学ぶ!コンプライアンスの基礎」
- 2018年度「コンプライアンスの基礎」+「コンプライアンス意識調査アンケート」
- 2019年度「ケースで学ぶ ハラスメント~最新法制対応~」
- 2020年度「組織と個人を守る!スマートフォン時代のSNSリスク対策」
- 2022年度「改定行動指針を学ぶ」
- 2023年度「ケースで学ぶ!職場のハラスメント対策」
2017年度からは「コーセーグループ行動指針」に沿った教育を新入社員に対して実施しました。管理職には、役職上重要となるハラスメントに関して、新任管理職研修の中で、管理者の視点からコンプライアンス・リスクなどについて共有すると共に、各種ハラスメントの事案が発生した際の対応方法等、具体的な実例を取り上げて教育を実施しています。(2022年度は22名が受講) また、腐敗防止に関しては「コーセーグループグローバル贈賄防止に関するガイドライン」策定時に、研修を実施し周知徹底を図っています。
腐敗防止やハラスメント防止のためのコンプライアンス教育受講者数:サステナビリティ関連データへ
ビューティコンサルタント向け啓発
2014年度から、ビューティコンサルタント向けのコンプライアンス教育として、「めざそう!コンプライアンスエキスパート」と題した啓発ページを連載しています。お客さまと接する機会が特に多いビューティコンサルタントだからこそ知っておくべきことを、身近な事例の4コマ漫画で周知徹底しています。
その他、対象者別研修
新入社員、新任管理職、グループ企業の管理職など、対象者別のコンプライアンス教育をそれぞれ毎年実施しています。入門編であるコンプライアンス概論のほか、情報セキュリティ、ハラスメントといった各種テーマなど、受講者に合わせた内容を選定します。新任海外駐在員に対しては、グローバルなビジネス環境におけるリスクマネジメントとして、各国・地域の法令を理解・遵守するため、マンツーマンで教育します。
コンプライアンス啓発ポスターの掲示
毎年、コンプライアンス啓発ポスターを作成し、国内グループ会社の各事業所に配布・掲載しています。
あわせて、個人で使用するPCのスクリーンセーバーでも同じ内容を掲載し、周知を図っています。
腐敗防止への取り組み
基本方針
当社グループは、常に誠実かつ公正公平で、社会から信頼される存在であり続けるために、腐敗を「金銭それ以外に関わらず、受託した権力を個人の利益のために用いること」と定め、贈収賄、ファシリテーション・ペイメント、詐欺、強要、談合、マネーロンダリング、また過剰な接待や贈答品の授受、癒着、横領、着服、背任、隠蔽などのあらゆる形態の腐敗防止に取り組んでいます。「コーセーグループ行動規範」や「調達基本方針」、「コーセーグループグローバル贈賄防止に関するガイドライン」において、お客さまや取引先様、行政等との関係性における基本ルールを定めると共に、全社員への周知徹底に努めています。また、取締役会にて腐敗行為全般に対しての行動指針を決議しています。そして、腐敗行為の問題は、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会が取締役会に報告する体制となってます。
取引先様に対して
- 業務委託先を選定する場合、複数の候補から法に則り公平な評価により決定することとし、当社グループでの立場を利用して個人的な便宜を図ったりそれを強要することを禁止しています。
- 取引先様との贈答については、社会通念上の常識の範囲を除き、授受を禁止とすると定めています。
- 当社グループと特別な関係に見られるような法人あるいは個人との取引は、販売契約による取引を除き行いません。
- 新規お取引にあたっては、調達基本方針に従い契約を締結します。
ビジネスパートナー(代理店・エージェント等)の起用について
ビジネスパートナー(代理店・エージェント等「以下、ビジネスパートナー」)を起用する場合は、「コーセーグループグローバル贈賄防止に関するガイドライン」及び「コーセーグループグローバル贈賄防止に関するマニュアル」に従い、以下の項目に関する事前の精査、役務と対価の妥当性の検討を行い、責任者の承認を受ける規則となっています。
- ビジネスパートナーの誠実性(紹介経緯、公務員との関連性、これまでの贈賄関与、ビジネスパートナーの報酬の支払先等)
- ビジネスパートナーの業務遂行能力に関する調査(過去の実績、専門性、実体の有無、連絡の取りやすさ等)
- ビジネスパートナーとの間で締結する委託契約の内容(委託内容、委託業務に対して支払われる金額、ビジネスパートナーによる領収書の提出の要否、贈賄禁止条項の有無、契約期間等)
また、ビジネスパートナーとの契約書には、腐敗防止・贈収賄禁止の条項を導入するように努めます。
公務員に対して
コーセーグループでは、「コーセーグループ行動規範」と「コーセーグループグローバル贈賄防止に関するガイドライン」を策定・運用し、公務員やそれに準ずるものとの贈収賄を禁じています。公務員等に対し、取引や不当な利益を得るために、金銭、贈答、接待その他の利益(ファシリテーション・ペイメントを含む。)を不正に供与・約束をすることを禁止し、各国の贈賄防止関連法令の遵守、腐敗の防止及び公正な事業慣行の確立・維持に努めています。また、販売代理店及びエージェント等の起用においては、詳細な審査と検討を行い、事前承認を受けることを義務付けています。
「ファシリテーション・ペイメント」とは、日常の裁量の余地のない行政サービスにかかる手続の円滑化を目的とした公務員への少額の支払いを指します。
事業における腐敗のリスク評価について
リスクマネジメント推進委員会により、各部門毎に毎年事業全体のリスク評価を行なっており、その中で贈収賄や取引先様との癒着等の腐敗のリスク評価を実施しています。
コンプライアンス相談窓口等の設置
グループ内で行われている可能性のある、違法行為(贈収賄等あらゆる腐敗行為を含む)や、いじめ・ハラスメントなどの人権の問題を含む社内規則違反行為を発見する目的で、「コンプライアンス相談窓口」及び「ハラスメント相談窓口」を設け、従業員・役員は、メールや電話による通報(相談)をすることができます。また、外部弁護士直通の窓口も設置しています。相談窓口は、入社後に実施する「コーセーグループ行動指針」eラーニング研修や、定期的に掲示するコンプライアンス啓発ポスター、ビューティコンサルタント向けのコンプライアンス教育「めざそう!コンプライアンスエキスパート」等において周知し、グループウェア上にも常時システム化されています。
上記窓口に寄せられた相談案件については、匿名性を担保し、相談者が不利益を被らないことを明示し、外部弁護士のアドバイスと合わせ、コンプライアンス推進委員会が公正かつ真摯に対応して、問題の早期把握と迅速な解決を図っています。
「コンプライアンス相談窓口」については、海外グループ会社にも周知し、通報を受け付けています。
また、取引先様からのコンプライアンス関連のご相談・通報をお受けする窓口も、別に設置しています。
税務の透明性について
1.コーセーグループは、取締役会が税務リスクの監督責任を有しています。そして、税務リスクは経理部が所掌しており、その責任者は経理部担当役員としています。その統括の基で、税務に関する管理・報告を行う体制としています。
2.監査役会は、内部監査部門や会計監査人からの報告を通じて税務関連事項を定期的に評価しています。
3.コーセーグループは、各国にて適用される税法を遵守し、その精神を尊重した適切な申告及び納税を行います。また、事業目的や経済実態を伴わない、租税回避のみを目的とした取引は行いません。
4.コーセーグループは、各国税務当局に対して、当社の事業内容が正確に理解されるよう真摯に対応し、健全な関係を構築することで、適切な課税がなされるよう努めます。
5.コーセーグループは、法令順守の下、潜在的な二重課税 の排除を始めとした、適切な税務対応を推進し、税金費用の適正化が図られるよう取組みます。
6.経済的実体を持たない人為的な税務処理を採用しません。
7.OECD移転価格ガイドラインおよび各国の法令に準拠し、コーセーグループの移転価格方針を定め、この方針とアームズレングス原則に基づいたグループ間取引価格を設定します。
8.租税回避を目的とした意図的なタックスヘイブンの利用は行いません。
知的財産に関する基本方針
当社グループは知的財産を重要な経営資源と考え、グループ行動指針にも規定し、知財専門部署を設置して運用しています。知的財産とは、技術開発の成果や各種デザイン、ネーミングなどであり、適切に保護、取得、管理、活用を行うことで、グローバルな事業活動を支えています。
知的財産は当社にとって何よりも大切な「ブランド」の育成に不可欠であり、また知的財産権に基づく模倣品対策を国内外で実施することによりブランドの保護に努めています。
知的財産の発明者・創作者に対しては、職務発明制度で定められた各種基準により報奨しています。表彰式では社長自ら表彰するなど、さらなる知的財産創出へのモチベーションを高める施策を実施しています。
加えて、先端的な技術分野を中心にオープンイノベーションを推進し、当社だけでは実現できない新たな価値創出に繋げています。
一方で、知的財産教育を部門や業務内容に応じて毎年実施し、他者の知的財産権の尊重を啓発することで、開発時からのクリアランス確保を確実に行い、知的財産に関わるトラブルを未然に防止しています。
情報セキュリティ
個人情報保護管理体制
IT化の進展とともに、個人情報保護対策の重要性が高まっており、リスクマネジメントにおける重要な課題としてとらえています。2005年に策定した個人情報保護管理規程を見直し、より実態に即した内容に改訂しています。具体的には、個人情報管理者の設置による管理体制の強化、個人情報データ保有台帳の作成、管理マニュアルと漏洩報告経路の改定と徹底を行いました。個人情報の適切な管理について周知・徹底を進めています。
投資家への適切な情報開示
決算説明会の様子
機関投資家やアナリスト向けの決算説明会を年4回開催しています。また、個人投資家向けのIRセミナーを開催するなど、適正な情報開示によって株主や投資家の皆さまの理解と信頼を得られるようIR活動に力を注いでいます。