~地球の恵みに対する恩返しの気持ちを込めて~広がる『雪肌精』の環境への取り組み 2025.05.29

1991年にコーセーが掲げたコーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」。このメッセージは、企業活動を行う上で当社がもっとも大切にしてきた指針であり、これまで人々と地球のために、さまざまな活動に取り組んできました。その中でも、2009年に始まった環境への取り組み雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトは、16年にわたり活動を続け、今では10の国と地域にも広がり、その輪は年々広がっています。

今回は、『雪肌精』の環境への取り組みや代々つながる担当者の想いを戦略ブランド事業部 クリーンブランド事業室の山内さん、柳原さん、福田さんに聞きました。
写真左:戦略ブランド事業部 クリーンブランド事業室 山内 鞠那
福井県出身。2014年コーセーに入社。初配属の仙台支店ではドラッグストアの営業を担当。その後宣伝部で宣伝企画業務を経験した後、現在はクリーンブランド事業室にて、『雪肌精』の宣伝企画としてコミュニケーション施策を企画している。

写真中央:戦略ブランド事業部 クリーンブランド事業室 柳原 沙織
大阪府出身。2023年コーセーに中途入社。入社後、新シリーズ「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」のプロモーションを担当し、商品の販売促進に関わるプロモーション立案や、環境への取り組みを推進している。

写真右:戦略ブランド事業部 クリーンブランド事業室 福田 開道
東京都出身。2022年コーセーに入社。入社後、クリーンブランド事業室 商品企画課に配属になり、『雪肌精』『Prédia』の商品企画を担当。

始まりは2009年、沖縄のサンゴ育成活動

コーセーを代表するスキンケアブランド『雪肌精』で環境への取り組みをはじめたきっかけを教えてください。

山内『雪肌精』は1985年に誕生し、デビュー以来当社のナチュラルブランドの先駆け的存在として40年間愛され続けてきました。『雪肌精』の商品は、和漢植物を配合しており、植物の恵み・地球の恵みをたくさんいただいているブランドです。そこで、“恵み”をいただくだけではなく、地球へ恩返しをしたいという想いで雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトは始まりました。
雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトの代表的な「Ocean Project」は、サンゴ保全活動に寄附する支援活動や、地球の環境保全への理解を深める啓発活動に取り組むもので、対象期間中お客さまにご購入いただいた『雪肌精』ブランド対象商品の容器の底面積分※1の合計に相当する面積のサンゴを植え付け、サンゴの保全活動に取り組んでいます。そもそも、『雪肌精』でサンゴの保全に携わるようになったのは、当時のブランド担当者が、養殖サンゴの移植放流活動を行っている「海の種」の代表、金城浩二さんと出会ったことがきっかけです。当時はまだ、現在のように「サステナビリティ」や「SDGs」などの言葉が浸透していなかった時代で、金城さん自身も周りから「サンゴを養殖するなんて無謀ではないか」とか「陸に人工のサンゴ礁なんて作れるわけがない」など批判されて悔しい想いをされていた時期だったそうです。そんな中、当時のブランド担当者は、「サンゴ礁を未来に向けて守ることが、自然への恩返しになる」と思い、金城さんと一緒に海を守る活動をしたいと懇願しました。はじめは、一緒に取り組むことに抵抗があった金城さんも、ブランド担当者のサンゴを守る活動への熱意を感じ、一緒に取り組みを始めることになったと聞いています。数年前から「海の種」では、昨今の急速な気候変動を危惧し、気候変化に対応したサンゴの育成と保全活動を行うために、サンゴの産卵に関して研究を進めていて、コーセーもこの活動に賛同し、気候変動で白化が急速に進む沖縄の海のサンゴ礁を守る取り組みを継続しています。2009年からこれまで雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトを続けてこれたのも、金城さんや販売店の方々、お客さまなどステイクホルダーの皆さんのご協力があったからと感じています。
※1 例として「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」レギュラーサイズで 4cm×5cm=20 ㎠

金城さんとサンゴを守る活動を始めるまでにもたくさんの物語があるのですね。これまで雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトではどのような取り組みを行ってきたのでしょうか?

山内 まずは、先ほどお話しした「Ocean Project」。この活動は、2009年に活動を開始しています。活動の根底には、『雪肌精』のブランドカラーでもある“青い”海を守る、そのためにも多くの海の生き物が暮らすサンゴの保全が必要だという考えがあります。現在、世界のサンゴ礁の面積は地球表面の0.1%ほどですが、そこには約9万種もの海の生物が暮らしていると言われています。そんな中、地球温暖化の影響で2100年には地球上のすべてのサンゴが死滅してしまうかもしれないという研究結果もあります。2サンゴ礁の消失は、海洋生態系の崩壊や気候変動のさらなる加速など、深刻な影響を多くもたらしてしまうため、サンゴを守ることは青い地球を守るために大切な活動だと考えています。
そして、雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトが14年目を迎えた2022年には、地球温暖化による積雪量の減少に着目し、「SAVE the BLUE~Snow Project~」を開始しました。この活動では、期間中『雪肌精』ブランドの対象商品の売上の一部を、長野県北部の北アルプス山麓に広がる山岳リゾートである「Hakuba Valley」で使用される電力の再生可能エネルギーへの切り替えに活かしています。日本屈指の豊富で良質なパウダースノーを有する「Hakuba Valley」で使用される電力を再生可能エネルギーへ切り替える支援を行いCO2削減につなげることで、地球温暖化防止に貢献したいと考えています。2023年には、雪を守る活動をしている冬季産業再生機構と連携し、アンバサダーである元スキー・モーグル選手の上村愛子さんがつくった雪を守る大切さをテーマにした絵本を広める活動も実施しました。
※2 松村 信仁. “サンゴが消滅危機 DICが環境ベンチャーと保護技術開発へ 「老化」抑制に期待”. 産経新聞.2022/7/8

雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトの活動はグローバルにも広がっていると伺いました。海外ではどのような活動を行っているのですか?

山内 今では、日本だけではなく中国やシンガポール、タイやアメリカ等10つの国と地域で積極的に取り組んでいます。例えばタイでは、2011年から活動を継続していて、海洋生態系の保護とウミガメの繁殖のためにタイ政府が設置した「タイ海洋・沿岸資源研究センター」に協力し、繁殖したウミガメの放流やサンゴの養殖を行っています。参加者からは「地球を愛し、大切に考えている活動に参加できて嬉しい」といったコメントをいただく等、日本だけでなく世界へ活動が広がっていることを実感するとともに、地球へ恩返しをさらに進めていきたいと考えています。

お話しからも、年々世界的に環境保護活動への関心が高まっていると感じますが、環境保護活動の取り組みの難しさやもどかしさを感じることはありますか?

山内 実際に起きている環境問題を“身近な問題”と捉え、当事者意識を持ってもらうことに難しさを感じています。昨年金城さんにお会いした際、「これまで育ててきたサンゴたちが過去最大級と言えるほど大量に白化してしまった。」と深刻な温暖化が進んでいることを伺いました。また、若者たちがサンゴ礁の写真をみて「綺麗だね」と言っているのをよく見ますが、実際には白化したサンゴであることも多く、今の段階では、少し環境問題への認識にばらつきがあるともお話を伺いました。サンゴ礁の白化は、本当に深刻なため、たくさんの人に“自分ゴト化”してもらうために何ができるのか?雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトを一人でも多くの方に知ってもらって“自分ゴト化”していただきたいですし、そのためにはプロジェクトの担当だけではなく、環境問題について熱く語れる社員を一人でも多く増やしていきたいと強く感じています。

地球環境と共創した美しさを叶える、コーセーのナチュラル・クリーンビューテ新シリーズ「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」

近年、世界的にも環境への配慮やエシカルな商品を求める傾向は拡大し、化粧品業界でもクリーンビューティ市場は年々成長しています。このような背景から、2025年5月に、コーセーとして初めてナチュラル・クリーンビューティ市場に向けた新シリーズ「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」が誕生しました。

新シリーズ「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」はどのようなブランドですか?

福田 私たちは、“人と地球の調和”を目指し、地球の恵みに感謝し、還元する美しい循環を叶えることこそがナチュラル・クリーンビューティであると考えています。近年、透明性や持続可能性を重視し、人・環境・社会への配慮に取り組む化粧品への注目が年々高まっていることが、新シリーズ「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」が誕生した所以です。両シリーズは、共通のクリーンポリシー3を定めてモノづくりをしていて、シリーズの化粧品を通じて、「自然の恵みに感謝し、地球への恩返しをする美しい循環」を目指しています。そして、シリーズ名に共通する「BLUE」には、美しい地球にインスピレーションを受けたコーポレートカラーの「コーセーブルー」、『雪肌精』誕生時から大切に守ってきたブランドカラーの「雪肌精ブルー」、『Prédia』のコンセプトである海の色である「ブルー」にちなみ、“青く美しい地球を未来につなげていく”という想いを込めています。
※3 「BLUE」のクリーンポリシーは、より良い未来に向けて継続して更新していきます。
「BLUE」のクリーンポリシー:https://sekkisei.jp/site/p/blue_cleanpolicy.aspx

「BLUE」シリーズの製品開発の基本理念であるクリーンポリシーにはどのような願いを込めましたか?

福田 「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」のクリーンポリシーは、日本をキーワードに策定しています。日本は、四方を海に囲まれ、国土の67%を森林が占める国。限られた国土や資源の中で、わたしたちは生きるために自然と調和し、生きるために自然の恵みをいただいてきました。そんな日本で生まれた『雪肌精』『Prédia』は、地球への恩返しとして、持続可能な地球環境を守る取り組みを継続しています。これからは、さらに“恵みを受けるだけではなく、恵みに感謝し還元する”この循環こそ、美しい地球、そしてそこに住む我々の美しい未来を創ると考えました。

「BLUE」のクリーンポリシーに則ったモノづくりについて教えてください。

福田 「BLUE」シリーズでは、地球で生きる一員として、美しい循環を目指した共通のクリーンポリシーを掲げ、人も地球も大切にし、後世へ繋いでいくという考えのもと、独自の成分選択基準に基づいた商品づくりを行っています。ほかにも、自然由来指数や生分解性成分割合の開示を行い、日本産素材の採用なども積極的に進めています。また、アップサイクル素材の活用に加え、環境負荷の低い容器やパッケージの採用、環境保全活動への支援、容器回収※4などにも取り組み、持続可能な地球環境を未来へ繋げていきます。
さらに、「雪肌精BLUE」の容器のキャップには「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」など、『雪肌精』ブランドで使用しているハトムギエキスを製造する過程で発生する「ハトムギのもみ殻」を練り込み、通常は廃棄されるもみ殻をデザインの特徴として『雪肌精』ブランド内でアップサイクルしています。「Prédia BLUE」では、環境負荷の低い容器・パッケージを採用しました。今回パッケージには、メカニカルリサイクルポリエチレンを国内で初めて化粧品の容器に使用しました。メカニカルリサイクルポリエチレンとは、回収されたプラスチック容器を工場で粉砕・洗浄、加工して出来上がるポリエチレン樹脂のことです。化粧品は日々使うモノだからこそ、私たちは単に環境や人に優しい商品を提供するだけでなく、日常の中に少しでも環境を考えるきっかけをつくりたいと考えます。化粧品の中で一番初めに目につく部分は容器なので、商品を通じてお客さまが“自分自身”、“周りの人”、“地球”を大切にしたいと思えるきっかけをつくりたいとこだわった点です。
※4 2025年5月16日発行ニュースリリース :恵みをいただき感謝して還元する“美しい循環”「雪肌精 BLUE・Prédia BLUE Recycle Project」を開始

「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」の店舗にも、環境保全につながるような、たくさんのこだわりが詰まっていると伺ったのですが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?

柳原 店舗は、「地球の恵み」「自らの美の発見」「洗練された日本的要素」をコンセプトと定めています。店舗の什器や柱には、沖縄の海から採取された風化造礁サンゴ5を主原材料とした左官材を自然の土や鉱物からつくられる天然無機顔料にて着色、天然素材を使用しています。さらに、OSBボード6の採用や壁面の一部には再生率30%のリサイクルガラスなど、サステナブルな素材を用いて、環境に配慮しながら自然に包まれるような快適な店舗づくりを行っています。お客さまには、「自分自身を調え、慈しむことが美しい肌、こころ、そして美しい地球へと繋がる」と考えるブランド理念を再現した店舗で、自然に包まれたときに感じる安らぎや心地よさ、目を閉じて思わず深呼吸したくなるような温かく優しい空間を感じていただけたら嬉しいです。
※5数万年以上前に海中のサンゴや貝殻が堆積してできた100%天然素材 ※6間伐材や端材を薄く削った木片を板状に重ねて高温圧縮成形した木質ボード。

「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」では、新たに店舗で容器回収を実施すると伺いました。容器回収の実施についても教えてください。

柳原 私自身も「雪肌精 BLUE」「Prédia BLUE」に携わることで、海洋プラスチック問題や日本のリサイクルが進んでいない現状を目の当たりにしました。プラスチックは私たちの生活を便利にし、豊かにしてくれている一方で、毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流れ込み、自然に分解されずマイクロプラスチックとなって海洋生態系を脅かしています。今のままでは、2050年には海のプラスチックごみの量が魚よりも多くなるとも言われています。しかし、日本のリサイクル率は高いとされながらも近年横ばいの状況が続いています。特に、化粧品の容器はプラスチック・ガラス・金属などが組み合わさり、リサイクルが進みにくいことが課題です。また、日本の廃棄問題も深刻化しており、東京都の最終処分場は、このままでは50年後には満杯になると予測されています。こうした課題を解決するため、「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」では限りある資源を大切に、お客さまとともにリサイクルの推進に取り組んでいきたいと考え、「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」を取り扱う全店舗で容器回収を実施しています。使用済み化粧品容器を「資源」と捉え回収し、分別・洗浄・乾燥・粉砕を行い、新しいカタチに生まれ変わらせる取り組みを進めていきます。「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」はクリーンビューティブランドらしい透明性を大切にした活動を通して、お客さまとともに使用済み化粧品容器の再資源化を進め、限りある貴重な資源を大切に、持続可能な循環型社会の実現に貢献していきます。

では最後に、皆さんが今後挑戦していきたいことを教えてください。

福田 これまで、青い地球を守るために様々な活動を実施してきた『雪肌精』。今後は「BLUE」シリーズとして、環境問題により真摯に向き合って、取り組みを促進していきたいと考えています。持続可能な社会を実現するために、容器については「雪肌精BLUE」と「Prédia BLUE」でリサイクル素材を活用することができたので、今後は、環境配慮型の原料、アップサイクル型の原料を使用して、ブランド内で資源循環を可能にしていきたいです。これからも、デビュー以来築き上げてきたブランドの資産を活かしながら、いかに新たな魅力を付与できるか、新たな風を吹かせることができるよう、日々業務に励み、これからも化粧品を通してお客さまに自信をお届けすることができるように取り組んでいきます。

柳原 私自身、「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」に携わるようになって、環境問題を“自分ゴト化”できるようになりました。身近なことで言うと、当たり前かもしれませんが、エコバックやマイボトルを持ち歩くようにしたり、ペットボトルの飲料をなるべく買わないようになりました。「BLUE」シリーズの担当者としても、「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」が、世界中の一人でも多くの方に地球のために自分が出来ることって何だろう?と考えるきっかけを与えられるようなシリーズにしていきたいと考えています。そして、「雪肌精BLUE」「Prédia BLUE」が、世界のクリーン市場を牽引するシリーズになるよう取り組んでいきます。

山内 私は、これからさらに雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトの認知度を高めていきたいと考えています。そのためには、“人の力”が一番大切になると考えます。雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトは、今年で17年目になる取り組みです。担当が代わっても、なぜ活動がここまで続いているかというと、立ち上げ当初のブランド担当者の熱い思いが代々受け継がれているからだと思います。今後自分自身も担当が代わるときに、新しい担当者にその思いを受け継いで雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトがずっと続くプロジェクトにしていきたいです。長く続いてきたからこそチャレンジできる新たな取り組みも積極的に検討中なので、これからも『雪肌精』の取り組みを楽しみにしていてください。

 

この記事をシェアする