企業 幼保施設での取り組みが2歳以上の子どもの 自発的なスキンケア習慣を促すことを確認 幼保施設でスキンケアへの興味を育み、家庭での自発的な行動へ 2023.03.24 リリース全文 [ PDF / 736KB ]
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、幼保施設を拠点とした園児のスキンケアの習慣化を目指した実証実験「スキンケアはじめて、つづけてサポート」※1により、2歳以上の子どもの自発的なスキンケア習慣を促し、それを定着化できることを確認しました(図1)。赤ちゃんの頃から肌を健康に保つことはアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギーの予防など、生涯にわたるQOL の向上が期待されていますが、この取り組みは保護者だけでなく子ども自身が「自らの肌」に関心を向け、スキンケアを歯みがきや手洗いのような重要なセルフケア習慣と同じように実践するための有効な手段になることが分かりました。
※1 2022年9月22日発行ニュースリリース https://corp.kose.co.jp/ja/media/2022/09/20220922.pdf
本実証実験の実施概要
本実証実験は2022年10月19日から11月18日までの1ヶ月間で実施し、幼保連携型認定こども園「たかさごスクールおおたかの森」(千葉県流山市)の0歳児から5歳児クラスまでの240名(各クラス30~50名)の園児が参加しました。幼保施設と各家庭に「はじめてのスキンケアキット」(乳液・スキンケアブック・スキンケア絵本のセット)を配布し、幼保施設では保育者によるサポートの下、手洗いや食事後・着替え等のタイミングで乳液の塗布を行いました。また、子どもが自らの肌やスキンケアへの関心を持てるように、保育時間の中でスキンケア絵本の読み聞かせなどの取り組みを実施しました。
なお、これには保育者や保護者に不安なく協力してもらえる環境が必要となるため、事前に医療機関所属の「小児アレルギーの専門医療チーム」(千葉愛友会記念病院、千葉県流山市)と共同でそれぞれに向けたスキンケア教室を行うなど、保育者・保護者が安心して子どもへのスキンケアを実施できるような環境整備を行いました。
家庭での子どものスキンケアの習慣化やその自立の定着の度合いを計るため、取り組み前と取り組みが終了した2ヶ月後のタイミングで保護者への評価アンケートを実施しました。
幼保施設での取り組みは家庭での子どものスキンケア習慣の定着に繋がる
はじめに各家庭でのスキンケアの実施頻度を評価しました(図2)。取り組み前の状況では、0~1歳の乳児期のクラスではスキンケアを実施していない家庭は1割未満であり、既に多くの家庭でスキンケア習慣が定着していました。一方で、年齢が上がるにつれてスキンケアを実施していない家庭が増加し、5歳児クラスでは約2割がスキンケアを実施していませんでした。その理由は「スキンケアを行うのに十分な時間がない・忙しいため」という回答が最も多く、本取り組み前の保護者インタビューで確認していた課題と同一でした。
これに対し、取り組みが終了した2か月後に改めてスキンケアの実施状況を評価したところ、年齢に関わらずスキンケアを全くしていない家庭は減少し、特に2~5歳児クラスで明らかにスキンケア実施の頻度が増えることが確認できました。以上から、本取り組みは家庭での週1回以上のスキンケア習慣の機会を生み、さらに取り組みが終わった後もその習慣が定着していることが確認できました。
2歳からの子どもの自発的なスキンケアを促し、習慣として身につくことを確認
続いて、子どもの自発的なスキンケアの実践度合いを保護者の視点で評価してもらいました(図3)。取り組み前は、0~1歳児クラスでは多くの保護者が「親のサポートが必要」もしくは「実施できない」と回答しました。2歳児クラスでは29%が「大方、一人でできる」と回答し、スキンケアの自立が始まっている可能性が確認できました。
これに対し、取り組み2ヶ月後には、まだひとりではできることが少ない0~1歳児クラスでは「大方、一人でできる」の割合に変化はなかったものの、2歳児クラスでは11%、3歳児クラスでは14%、4歳児クラスでは7%の増加がみられました。この結果から、取り組みにより子ども自身がスキンケアに対する興味を持ち、その実践方法を体験することで、家庭におけるスキンケアの自立を促せることが確認できました。一方で、取り組み前は「大方、一人でできる」と評価していたが取り組み後に「親のサポートが必要」もしくは「実施できない」と評価する保護者もみられ、本取り組みが家庭での子どものスキンケアを見直すきっかけにもなったと考えられます。
2歳以降は衛生習慣とともにスキンケア習慣を身に着ける絶好のタイミング
本取り組みは、2歳以降のクラスの家庭でのスキンケア習慣の定着とその自立に寄与できることが明らかとなりました。2歳が分岐点になる要因は大きく2つ考えられます。一つめは、子ども自身がスキンケアに関心をもてる機会が多くなることです。保育者や友達と一緒に自分でスキンケアをすることや、スキンケア絵本をみんなで読むことが大きく貢献していると考えられます。二つめは、2歳という年齢が歯みがきや手洗いといった身の回りの衛生習慣を身に着け、自立しはじめるタイミングにあたることです(図4)。2歳児に着目すると、取り組み2ヶ月後のスキンケアの自立度合いは「歯みがき」や「身体を洗う」ことと大きな差はありません。実際に保護者の方からは「保湿自体は新生児から続けていたが、こんなに早く子どもが自分でできるようになることは驚きの発見でした」といった声もあり、スキンケアはきっかけや方法を提供することができれば、他の基礎的な衛生習慣と同じように2歳からの成長過程で十分に身に付けることができる習慣であると言えます。
今後の展望
幼保施設を拠点とした本取り組みは、子ども自らのスキンケアへの興味関心を育み、特に2歳以降のスキンケア習慣の定着と自立に繋がることを確認しました。当社では生涯にわたる健全な肌を守っていくために、これまでもスキンケアとアレルギーに関する研究や一般の方向けの公開講座※2などの啓発活動に取り組んできており、今回の取り組みは幼少期の子どもに直接スキンケア習慣を与えるきっかけになることを期待しています。
今後は、本取り組みで開発した子どものスキンケアの習慣化手法を広く普及するためのイベントの開催や、全国の幼保施設に広げていく活動を計画しています。加えて、本取り組みで得られた知見を活かし、子どもから大人まで安心して使えるスキンケア商品の開発へと繋げていきます。
※2 2017年2月10日発行ニュースリリース https://corp.kose.co.jp/ja/media/2017/02/20170210.pdf
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