研究開発 中高生の“自分らしさ”の受容が アイデンティティの確立と幸福感に繋がることを確認 ~スキンケア習慣が肌と心に自信を与える~ 2025.07.03 リリース全文 [ PDF / 719KB ]
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、中高生にとって“自分らしさ”を受容することが、他者からの称賛や周囲との調和よりも、より強くアイデンティティの確立と幸福感に繋がることを明らかにしました。また、スキンケアの習慣化の効果を進学塾※1に通う中高生に対して検証したところ、肌悩みを低減することに加え、自信に繋がるなどの自己受容を高められることを確認しました。
※1 特進館学院(運営:株式会社ホットライン、所在地:兵庫県三田市)

図1 中高生の美容価値観とアイデンティティへの影響
研究の背景
中高生は身体的にも精神的にも大きく発達する思春期にあり、自身の外見への関心が高まります。特に近年では、SNSなどで他者の外見に触れて影響を受ける機会も多く、肌悩みをもつ中学生が8割以上に上るという調査結果も得られています※2。また、思春期はアイデンティティを確立するための大切な時期としても知られており、外見や美に対する考え方がどのようにアイデンティティの形成に影響するかは重要な研究課題です。そこで本研究では、当社の開発した美容価値観(美しさに対する価値観)※3を切り口として、中高生のアイデンティティの形成に重要な要素を見出し、外見と心の両面から中高生を支援する可能性について検討しました。
※2 8割以上の中学生に「肌悩み」 ※3 美しさに対する多様な価値観を測る心理指標を開発
外見の悩みは中高生に感情のゆらぎとアイデンティティの混乱を起こす
国内の12~18歳の中学1年生~高校3年生の男女995名を対象に、肌や外見の悩みの有無、美容価値観、外見に対する感情、幸福感、そしてアイデンティティの状態を測定する調査を実施しました。この中で、まずは肌や外見の悩みを抱える層と抱えない層に分け、外見に対する感情とアイデンティティへの状態のグループ間での差の有無を、統計的に検証しました。
その結果、悩みを抱える層は抱えない層に比べて、不安などを示すネガティブ感情が明らかに強く、自己肯定などを示すポジティブ感情もやや強く表れました(図2)。これは、外見の悩みを抱える層はネガティブ感情を感じやすく、感情の揺れ動きが大きいことを示唆しています。また、アイデンティティの確立を乱す、混乱の度合いは悩みを抱える層の方が強く表れました。このことから、肌や外見の悩みは感情のゆらぎを引き起こし、アイデンティティの混乱に繋がる可能性が示唆されました。

図2 外見に対する悩みが感情およびアイデンティティに与える影響
“自分らしさ”の受容が中高生のアイデンティティの確立と幸福感に繋がる
次に、アイデンティティの確立に影響を与える要素の特定を行いました。先行研究から、価値観は感情や行動を起こす要因となることや、感情が幸福感に繋がることが知られているため、
①美容価値観 → ②感情 → ③幸福感 もしくは アイデンティティ
という3層の構造モデルを仮定し、5つの美容価値観(図3)がそれぞれどのような影響度があるかを解析しました。その結果、個性尊重性、社会調和性、他者優越性はポジティブ感情を介して、アイデンティティの統合(確立)や幸福感に繋がることが分かりました(図1右)。個性尊重性は“自分らしい”美しさであり、この3つの価値観の中で最も大きな影響度をもっていました。社会調和性は周囲と調和する美しさであり、個性尊重性に次ぐ影響度である反面、ネガティブ感情への影響も認められました。他者優越性は他者から賞賛される美しさであり、3番目にポジティブ感情に影響がある価値観でした。

図3 5つの美容価値観
このことから、思春期の健全なアイデンティティの確立には、他者から認められることや周囲に合わせることも重要ですが、なにより“自分らしさ”を受容することが肝要であり、それが幸福感にも繋がっていくことが明らかになりました。
※ 本研究の成果は、第20回日本感性工学会 春季大会(2025年3月5日~7日、京都府)にて発表しています。
スキンケアの習慣化は肌悩みの軽減だけでなく、自信にも繋がる
さらに中高生の肌と心の健やかな成長を日常から支えるため、中高生へのスキンケアの習慣化の効果を検証しました。そのため、中学1年生~高校3年生の男女19名の生徒を対象に、肌とスキンケアの基礎を学ぶ、実習形式のスキンケア講座を実施しました(2024年11月、進学塾「特進館学院」にて)。講座後は提供したスキンケア商品※4を自宅で自由に使用してもらい、3ヶ月間のスキンケアの習慣化に取り組み、その効果をアンケートにより検証しました。
※4 使用したスキンケア商品
コーセーコスメポート セラミエイド 薬用 フェイス&ボディウォッシュ
コーセーコスメポート セラミエイド 薬用 スキンミルク
コーセーコスメポート サンカットR トーンアップUV エッセンス レモンイエロー
コーセーコスメポート クリアターン ごめんね素肌 キニシナイパッチ
まず、スキンケアの習慣化による、肌悩みの変化を検証しました。中高生の最大の悩みである「ニキビや吹き出物」は、スキンケア使用1ヶ月後では74%が悩んでいたものの、3ヶ月後には58%に減少しました(図4)。その他の肌悩みも減少が確認できました。

図4 スキンケア習慣による肌悩みの変化
次に、気持ちの変化を検証しました。スキンケアを使用して3ヶ月後には、95%の生徒が「肌がきれいになる」と回答し、84%が「幸せな気持ちになる」、64%が「自信がもてるようになる」という回答が得られました(図5)。

図5 スキンケア習慣による気持ちの変化
また、取り組みに参加した生徒からは「思っていた以上に肌がきれいになってとてもうれしい」、「負担にならずに続けられて、習慣がついた」、「スキンケアをすることで自分に自信が持てるようになった」といったコメントが寄せられました。
以上から、中高生がスキンケアを習慣化することは、肌悩みの緩和に加えて、気持ちの前向きな変化と自信をもたらすことを確認しました。この自信に繋がる “自分らしさ”を受容する大切さを伝えながら、スキンケアの習慣化を支援することで、中高生のアイデンティティの確立と毎日の幸せな生活に、より一層貢献できると考えます。
今後の展望
本研究から中高生にとって、“自分らしさ”を受容にすることは、他者からの称賛や周囲との調和よりも、より強くアイデンティティの確立と幸福感に繋がり、それはスキンケアの習慣化によって一層効果的となると考えられます。今後もお客さま一人ひとりの“自分らしい”きれいの実現に向け、研究活動を進めていきます。
このニュースをシェアする