Special

プロジェクトストーリー

長い歴史の中で築いた価値の「継承」と、さらなる「進化」。
「薬用雪肌精」のリニューアルプロジェクト

1985年に「雪のようにみずみずしく、透明感あふれる美しい肌のお客さまを増やしたい」という想いが込められて化粧水一本で誕生した『雪肌精』。
誕生から現在まで約40年もの間、たくさんのお客さまに愛されてきました。現在は、海外にも展開し、コーセーの主力ブランドの一つになっています。

一方で、コーセーの研究所では『雪肌精』の誕生以来、和漢植物の研究に力を注ぎ、16年前(※2024年11月時点)から研究に着手していた“甘草”由来の成分に肌あれ防止効果に加え、新たに美白効果を発見しました。『雪肌精』誕生から配合しているこの“甘草”由来の成分を新たな有効成分として配合する、さらにパワーアップさせるためにプロジェクトが始動しました。

コーセーを代表するロングセラー商品の初めてとなるリニューアル。プロジェクトに参加したメンバーに、そのリニューアルにかけた思いやブランドや商品のこだわりを聞きました。

ブランドマネージャー
S・H
美容成分開発
U・T
処方開発
H・H

世界中で親しまれている「薬用雪肌精」リニューアルに至る2つのきっかけ

約40年の歴史の中での初めてのリニューアル。雪肌精のブランドマネージャーを務め、今回のリニューアルプロジェクトを率いたS・Hは、コーセーの看板ともいえる雪肌精の存在について次のように話す。

「1985年に誕生した『雪肌精』は長い間多くのお客さまに愛用されてきたということと並び、今日では世界の15の国と地域に展開されている国際的な主力ブランドの一つです。
現在は『雪肌精』ブランドとしてカテゴリーやシリーズを拡大している中、化粧水の「雪肌精」だけで累計出荷個数6,700万本(※発売~2023年11月末時点、各サイズ品・限定品を含む)を記録する商品です。それをリニューアルするのには、いくつかきっかけがありました。」

2024年のリニューアルから遡ること4年。2020年には、雪肌精ブランドで新シリーズ『雪肌精 クリアウェルネス』が発売されている。若い客層にターゲットを定めた商品群で、広告キャンペーンも同シリーズに注力。その結果、目論見通りに商品の魅力を多くのお客さまに届けることができ好評を博するが、その一方で見えてきた意外な点もあった。

「『雪肌精 クリアウェルネス』発売当初は広告もそちらに集中するということで、従来品の売上に影響が出ることも予想していました。
しかし、『雪肌精 クリアウェルネス』が好調な傍ら、『薬用雪肌精』は露出が減ったにもかかわらず売上が伸び続けていたのです。そこで私たちは根強い人気を実感し、次はこの看板商品をさらに伸ばしていきたいと考えました。」(S・H)

「薬用雪肌精」の人気が再確認されていた頃、コーセーの商品に用いるさまざまな原料や素材を探索する研究所では一つの有効成分が注目されていた。皮膚薬剤研究室のU・Tが振り返る。

「当社が16年前から研究を続けていた、甘草に由来する成分であるW-グリチルレチン酸ステアリル(※グリチルレチン酸ステアリルSW)が、同成分として日本で初めて「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」効能を有する美白有効成分としての承認を獲得したのです。

ではこの成分をどう活用していくかということを考えたときに、化粧水である『薬用雪肌精』に用いるのがふさわしいのではないかという議論が持ち上がりました。」

『雪肌精 クリアウェルネス』シリーズで商品の処方開発を担当していたスキンケア製品研究室のH・Hは、当時の雰囲気についてこう語った。

「たしかに『雪肌精』は母世代のブランドというイメージもありましたが、『雪肌精 クリアウェルネス』が自分のような若い世代に受け入れられたことで、この年代で肌悩みを抱える人などに届けられる商品を作れているのではないかという手応えも感じていました。ブランドのイメージが変わっていってるなという実感がありましたね。」

露出の減少をものともしない根強い人気の再確認と新しい美白有効成分の承認獲得。そうした勢いを得て、新しい「薬用雪肌精」の開発がスタートすることになる。

ファンの意識を徹底的に調査
新成分を化粧水に溶け込ませる壁

「長い歴史の中で、多くの方々に愛されてきた商品の初めての大幅なリニューアルですから『責任重大だな』という気持ちでしたね。」
ブランドマネージャーとしてリニューアルを牽引したS・Hは、プロジェクト開始当初の心境をそう振り返る。

「国内外問わず高い支持をいただいている商品だからこそ、中身は変えることなく、プロモーション戦略の刷新により、ブランドのさらなる向上に努めてきました。
コーセーの社員からも愛されている商品ですので、プレッシャーはとても大きかったです。

なので、まずは『守るべきところ』と『新しくするところ』をはっきりとさせるために、徹底的にリサーチを行いました。

雪肌精が支持されているポイントはもちろん、離反された方はどこが気になったのかなど、丁寧にヒアリングを重ね、中身の成分や使用感はもちろん、香り、デザインに関してもすべて調査を行い、議論を重ねていきました。」

その『守るべきところ』と『新しくするところ』を実現するために、汗をかいた一人がH・Hだ。処方開発担当である彼女の仕事の一つは、新有効成分を化粧水に溶け込ませること。

しかし従来品の有効成分であったグリチルリチン酸ジカリウムが水溶性であることに対して、新有効成分であるW-グリチルレチン酸ステアリルは粉末状の固形の油。リニューアルにあたって「ぜひ、やらせてください!」と手を挙げ、意気込みをもってプロジェクトに臨んだH・Hをもってしても、開発は簡単には進まなかった。

「無理に溶け込ませても、とろっとしたマヨネーズのようなものができてしまい、開発はすごく高い壁だらけでした。

「薬用雪肌精」はさらっとしたみずみずしさも人気の一つで、そこは『守るべきところ』でしたので、試行錯誤を重ね、約400条件を超える検討を経て、工場の方々とも議論を重ねて、そうしてようやく完成にたどりつくことができました。壁を越えていくときには、部署を超えてプロジェクトメンバー一人ひとりの想いが繋がっている感覚がしましたね。」

全員の想いを込めたコンセプト
「100年続くロングセラー商品に」

プロジェクト全体の一体感については、本プロジェクトで「美容コンセプトの構築」を担ったU・Tも同様の感想を抱いたという。

「このプロジェクトにはまず研究者として、みんなが目指している『雪肌精』になるにはどういった成分構成にすれば良いのかという研究の段階から参加させてもらっています。

その後、実際に出来上がった製品の効果検証や使用感を自分たちのチームで確かめてみて、透明感が上がるなという実感を自ら体感しました。さらにこれから新しい『薬用雪肌精』に関わるすべての人が同じコンセプトを共有できるように、時間の許す限り対面での打ち合わせを重ねて、商品の価値づくりを検討しました。商品企画、商品開発、デザイン、生産部、研究所など、各部門のメンバー全員からこだわったポイントを聞くことができ、コーセーの社内に根付く熱い想いに感動しました。

また商品企画や商品開発の担当者と共に全国の営業支店をめぐり商品の進化ポイントや魅力を直接説明した際には、その全員の想いをわかりやすい言葉に変えて、店頭で販売してくれるBC(ビューティコンサルタント)の皆さんに伝えるなど、新しい『薬用雪肌精』に対する期待感を全員で共有できるように努力しました。」

プロジェクト開始時には入社3年目という若い段階でプロジェクトに参画したU・T。プロジェクト参加が決まった当初は、「社員の想いを汲み、コンセプトを構築していくという重要な役目に身が引き締まる想い」だったと話す。

「嬉しかったのとプレッシャーと、両方を感じていました。そんな中で上司が『会社人生の中でもまたとない機会なので決して後悔の無いよう全力でやりきろう、 楽しもう』といった言葉をかけてくれたのが印象に残っています。

入社間もないタイミングでこんなに大きなプロジェクトに参加させてもらえて、学生時代に描いていた『豊富な経験ができる会社』というイメージそのままだったなという印象です。」

コーセー全体が熱量をもって取り組んだ「薬用雪肌精」リニューアルは開発に携わったメンバーの努力の甲斐もあり、発売された2024年上半期で数多くのベストコスメ賞を受賞。非常に高い評価を獲得した。「我が子のように大事な商品」(H・H)、「多くの皆さまに向こう何十年と満足いただきたい」(U・T)と話す二人の言葉を受けて、S・Hはこれからの『雪肌精』について、このように話してくれた。

「二人を始めとして、今回のリニューアルプロジェクトでは非常に多くの社員が関わりながら、全体が一つとなってより良い商品をつくろうと努力してきました。

その結果として、新しい「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンスローション」は、技術も成分もデザインも香りも製造も、社員の想いが入った最高の一品となりました。

長い歴史を持つ大ブランドですが、先輩方から受け取ったバトンを次の世代に届けられる、長く販売できる商品が完成したと自負しています。『100年続くロングセラー商品』になるよう、これからも長期的な視点で雪肌精を育てていきます。」

他のスペシャルコンテンツはこちら

募集要項