研究分野

最良の化粧品をお届けしたい

コーセーの創業は1946年。創業者の小林孝三郎は人々に美しい夢と希望を与える化粧品に限りない情熱を込めて事業をスタートさせました。お客さまに心から満足していただける最良の品質の化粧品を創り、それを一人ひとりに手渡しするような気持ちでお届けしたい、という強い信念を抱いていました。その思想は現在に至るまで脈々と受け継がれています。品質へのこだわり、独自のブランドマーケティングの展開など、企業活動のあらゆるところに創業者の理念が生きています。なかでも研究開発は、コーセー発展の原動力としての役割を担っています。

スキンケア研究

確かな効果と満足感の両立

スキンケア化粧品の役割は使用者をみずみずしく健康的な美しい素肌に導くことです。コーセーではそのための肌効果はもちろん、満足感をもって使い続けていただくための安心感や心地良さといった感性価値にもこだわって製剤開発に取り組んでいます。

研究領域としては乳化技術や分散技術といったコロイド界面化学が基盤となっていますが、皮膚科学的な知見も合わせることで、より効果的な製剤の開発を行ってきました。

スキンケア化粧品の基本機能は保湿ですが、シミや小ジワなど肌のさまざまな悩みに応えるのも重要な役割です。それらを叶える有効成分を安定的に配合する技術や、成分の有効性を最大限に発揮させるためのカプセル化技術は、コーセーの強みとなっています。これまでもリポソームなどのロングセラー商品を世に送り出してきました。

ヘアケア研究

健やかで美しい髪の追求

ヘアケア化粧品はシャンプーやリンスが代表的な製品ですが、頭皮や頭髪に関する悩みを解決し、頭髪をより美しくするために、さまざまな種類の製品の開発を行っています。毛髪を評価する機器を独自開発するなど、従来から独創的な研究開発に取り組み、お客さまからの評価も高いヘアケア化粧品を数多く発売してきました。

新規のコンディショニング成分の開発にあたっては、独自の評価手法によって効能効果を明確にとらえ、有用性の高い製品を実現しています。たとえば、コーセーの得意とするカプセル化技術によって、加齢やダメージにより減少する毛髪内脂質を毛髪内部に供給するデリバリーシステムを開発し、商品へと応用しています。

ポイントメイク研究

機能性と感性を追求して新しい美しさを作る

メイクアップ化粧品は目的に応じてさまざまな種類が発売されています。また、その剤型も多いため、その研究は広範な学問領域に深く関連しています。最先端の有機化学や無機化学、物理化学などはもちろん、色彩学や化粧心理学を融合させて「機能性」と「感性」を追求しています。

「機能性」を向上するのに重要なのが素材開発で、口紅のうるおい感を向上する抱水性の高い油剤や、マスカラのカール効果を高める被膜形成剤などを見出してきました。また、ポイントメイクアップ製品は、魅力的な個性を演出する大切なアイテムとして、機能性だけでなく、その色合いも大きな役割を果たします。口紅やアイシャドウ、マニキュアなどの色の開発にあたっては、ファッションのトレンドや色の持つ印象までも考慮して何百色の中から決定していきます。

ベースメイク研究

最先端の技術により理想の肌を目指す

下地やファンデーションといった、顔全体に使うベースメイクは、肌を美しくみせるというメイクアップ的な役割と、紫外線や乾燥から肌を守るためのスキンケア的な役割の、両方を担っています。特にファンデーションは仕上がりの美しさや化粧効果の持続が求められますが、使い心地の良さも重要です。パウダータイプや2ウェイタイプにはじまり、水分を70%以上も含みながら固形タイプという清涼感のあるファンデーションなど、業界初の画期的なファンデーションをいくつも開発してきました。

同じ原料を使っても、粉体の周りをコートする油剤やそれらの配合順序によって、仕上がりに大きな差が出るため、最先端の技術や素材を駆使しながらも、細かなノウハウを大切に受け継いでいます。

香料研究

香りの心理効果も研究対象

香りの研究は調香と呼ばれ芸術的要素の強い創作活動ですが、コーセーでは香りに関しても科学的かつ客観的な研究との連動を重視しています。それは、香りを香水などのフレグランスとして製品化するだけでなく、香りは化粧品の持つ世界観を表現するものであり、お客さまに満足感や心地良さを感じていただく重要な構成要素のひとつだからです。

香りは最新の市場動向を取り入れながら、約2,000種に及ぶ香料素材を組み合わせて創り出します。さらに近年では香料の持つ心理的効果を重要なテーマととらえ、リラックスを促し上質な眠りへ導く香りや、スキンケア効果を高めるための香りの取り入れ方など、香料の持つ可能性を広げるための基礎的な研究にも取り組んでいます。

皮膚科学研究

皮膚の持つ優れた機能を解明

肌に直接働きかける化粧品の研究開発にあたっては、皮膚の微細な構造を把握し、その機能を調べて肌を知ることが必要です。皮膚の微細な構造や機能への研究や、外界からの刺激に対する挙動についての研究成果は化粧品開発だけでなく、皮膚科学の進歩にも寄与してきました。今後もお客さまの求める美しさを実現するために、皮膚科学研究を積極的に進め、有用な化粧品開発に役立てていきたいと考えています。

また、私たちは最新の皮膚測定機器を用いて、皮膚水分保持機能やバリア機能、弾力性など肌の力学特性、肌表面の微細形状などを多面的に測定して、肌に起こるさまざまな変化の原因解明に向けた研究を行っています。「化粧品によって肌がどのように改善していくのか」という効果効能研究を進め、肌トラブル予防や改善に適した化粧品の開発に取り組んでいます。

薬剤開発研究

肌を守り、働きかける

多くの人が肌の悩みとしてあげるシミやそばかすは、メラノサイトという色素細胞の活性が高まり、メラニンの生成が促進されることが原因です。コーセーは、メラノサイトの活性を亢進させるさまざまなメカニズムを解明する研究を続けています。

また、もう一つの大きな悩みにシワがありますが、私たちは20年以上も前から、活性酸素がシワをはじめとする老化の大きな要因であると考え、研究してきました。活性酸素は非常に反応性が高く、皮膚においては特に紫外線により発生することが知られています。そして、この活性酸素が表皮細胞や真皮細胞の成分であるコラーゲン、エラスチンにダメージを与え、シワの原因となります。私たちはこれまでに活性酸素の発生を抑制するさまざまな薬剤を見出してきましたが、さらに効果の高い薬剤と化粧品への応用研究を進めています。

データサイエンス

データ解析から新しい価値に挑戦する

皮膚をはじめ私たちの身体にはさまざまな情報が含まれています。それらは画像なども含む膨大なデータであり、適切に解析するには高度な情報解析技術が必要です。それらを駆使して今までにない新しい知見を見出すことに取り組んでいます。また、それらのデータをもとにソフトウェア開発など、お客さまの体験に繋がるコトづくりにまで研究の裾野を拡げていくことも重要なミッションです。

上記のようなさまざまな研究分野を互いに相互作用させながら、これまでのモノづくりに加えてコトづくりを含めた新しい価値づくりに、研究所全体として挑んでいきます。

研究開発