make keep ”くずれないメイク”へのこだわり

make keep ”くずれないメイク”へのこだわり

ユーザーのメイクくずれの悩みを解決する商品を

「メイクがくずれず、美しさをキープできること」。それはいつの時代も変わらない普遍的なユーザーの願いです。
コーセーは創業以来、お客さまの悩みを解消し、多彩な「きれい」を叶えることで、より豊かで充実した生活を実現すると同時に、社会課題の解決に寄与していきたいと考えてきました。1974年、普及する冷房の影響で生じるつっぱり感をおさえた夏用のリキッドファンデーションを開発。1993年には、口紅のあとにサッとひと塗りすると、カップや衣服に口紅がつかなくなるという革新的な化粧品を発売。2019年発売した化粧くずれを防ぐフィックスミストは、マスクへの色移りなども軽減し、後のコロナ禍での生活に貢献してきました。ユーザーのニーズや社会情勢の変化に合わせ、このような製品を世に送り出し、社会課題の解決を願いながら、メイクとしての美しさもくずさない品質追求を行い、コーセー独自の価値として、その技術を進化させてきました。

Interview メイク キープ ミストの開発の裏側

歴代のくずれない化粧品

コーセーでは、四半世紀以上前から「くずれない」化粧品技術の開発に力を注ぎ、その時代時代に求められる商品を世に送り出してきました。

60’s
Topics

欧米発のトレンド

東京オリンピックの開催や海外渡航の自由化をきっかけに、日本が世界に開かれた1960年代。ビートルズやモデルのツイッギーが日本でも話題に。
化粧品も欧米のトレンドの影響を受けました。

1963

ハリウッドのお墨付き、くずれないファンデーション

ラボンヌ カラーケーキ

アメリカのハリウッド撮影用に開発されたケーキタイプのファンデーションが日本でも流行。高温多湿の日本にはぴったりな仕様で瞬く間に普及しました。

1967

くずれないファンデーションが続々と登場

オーリック 
コンパクトファンデーション

化粧効果が高くエモリエント効果に優れたオーリックのコンパクトファンデーションが大ヒット商品に。続いて1970年に発売されたカラーケーキは従来の肌のつっぱり感や粉っぽさを解消し、人気を博しました。

70’s
Topics

冷房の普及

1960年代半ば以降、冷房が一般家庭やオフィスに普及。
オフィスで働く女性が増え、夏の屋外でも冷房下でもつけたての美しさをキープできる化粧品が求められました。

1974

夏の汗に強く、冷房による乾燥も防ぐ

サマード

従来のケーキタイプの粉体と油分を水に分散させ、汗に強いリキッド状の夏用ファンデーションを発明。
スポンジを水で濡らす必要がなく、長時間の冷房下で過ごしてもつっぱり感がないことが、当時の女性たちから熱い支持を得ました。

1976

パウダーファンデーションが登場

フィットオン

当時はファンデーションの後に、粉おしろいで仕上げるのが一般的でしたが、化粧時間を短縮したいという声に応え、ファンデーションと粉おしろいを一体化しました。
化粧効果の高さ、使用法の簡便さ、携帯性を兼ね備えた、まさに三拍子そろったファンデーション。

1977

アイメイクでもくずれないを実現

ウォーターフリー

アイカラー、アイライナー、マスカラをラインナップしたアイメイクアップシリーズ。当時は「マスカラは落ちてしまうもの」という認識でしたが、アイメイクなのに汗や水に強く、泳いでもくずれないキープ力を実現しました。

1979

ケーキタイプとパウダータイプのいいとこ取り

2ウェイケーキ

その名の通り、乾いたスポンジと水に濡らしたスポンジのどちらでもきれいに塗布できるのが特長のファンデーション。レインコートから発想を得て、粉体にシリコン処理をしており、暑い夏でもくずれにくい設計にしています。

80’s
Topics

スポーツブーム

スポーツ観戦だけでなく、テニス、水泳、ジョギング、バレーボールなど自分でスポーツを楽しむ人が増加。
汗や水に濡れてもくずれないメイクの需要が高まりました。

1981

スポーツで汗をかいても美しく

スポーツ ビューティ

業界に先駆けてハードなスポーツに対応できる専用の総合化粧品ブランドとして開発。従来はサンオイルやサンカット剤、ほてりを鎮めるローションなどが主力でしたが、「スポーツ ビューティ」はスキンケアだけでなく、ファンデーションやポイントメイクなど本格的なメイクアップ商品を取りそろえました。

1983

圧倒的な化粧もち技術がアップデート

2ウェイケーキ ソニア

人気の2ウェイタイプのファンデーションを、微粒子技術を用いることで進化させ、これまでのサマーファンデーションの中で最高の品質と機能性に昇華させた商品。密着力に優れたタイプで化粧もちがさらにアップしました。2年後には、皮脂を吸収し汗を蒸発させる「2ウェイソニア」を発売しました。

1988

ウォータープルーフ機能をさらに進化

2代目・3代目 スポーツ ビューティ

ソニアの技術を応用し、2代目「スポーツ ビューティ」がウォータープルーフ機能を進化させリニューアルしました。
続く3代目は高い撥水性や耐水性、酸素透過率を持つウォータースクリーンポリマーや、新規分散成分技術を採用しました。紫外線防止効果の高い日やけ止め製品の種類が多いのも特長。どれも「くずれない」「落ちない」アイテムです。

90’s~00’s
Topics

ギャルカルチャー

女子高生を中心に厚底シューズやルーズソックス、ミニスカートなどをトレンドとするギャルファッションがブームに。
ファッションに合わせ、目元や口元を強調する華やかなポイントメイクが流行しました。

1993

口紅の色移りを防ぐ画期的な商品

リップ ジェル マジック

口紅の上から重ねてつけるだけで、カップや衣服に口紅がつかなくなるという、革新的な化粧品。水にも油にも溶けない特殊な成分が口紅の上に膜を作り、リップカラーの色味を活かしながら、色移りや色落ちを防止。大きな話題を呼びました。

2000

現在まで続く、くずれないの代表ブランド

ファシオ

2000年に発売され、今も健在の「ファシオ」は、1991年発売の「スポーツ ビューティ」から派生したブランドです。中でも汗・水・涙に強いウォータープルーフマスカラは、ファシオの象徴アイテムに。

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10’s~20’s
Topics

多様性の時代

「モテ」「愛され」など他人からの目線がキーワードだった2010年代から「自分らしさ」「多様性」へと変化している2020年代。コロナ禍がひとつの契機となり、自分が心地よいものを選ぶように。マスク着用の常態化により「メイクがくずれない」ニーズがさらに高まり、より機能の高さが求められるようになりました。

2019

化粧くずれを防ぎ、長時間美しい仕上がりをキープ。
マスクの下でもくずれない

メイク キープ シリーズ

2019年6月に発売した「メイク キープ ミスト」は、メイクの仕上げに吹きかけるだけという手軽さと手頃な価格で支持されました。特にコロナ禍のマスクメイクでの需要が高まり、不動のポジションを確立。現在ではパウダーや化粧下地も追加発売されてシリーズ化しています。汗・皮脂プルーフ成分、メイクコート成分、皮脂テカリ・くずれ防止成分など、コーセーのくずれない技術が結集されたシリーズです。

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2023

色移りしにくい“粘膜色”リップ
マスクをつけ外ししてもツヤと発色が続く

ヴィセ
ネンマクフェイク ルージュ

1994年より続くブランド「ヴィセ」より、トレンドの“粘膜色”の口紅「ネンマクフェイク ルージュ」が登場。
これまで色移りしにくい口紅といえばマットタイプ(ツヤのないタイプ)が主流でしたが、コーセー独自のラスティング処方により、ツヤや発色をキープしながら、色移りしにくい口紅を実現しました。

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2023

化粧もちと濡れツヤ感を両立

コスメデコルテ
アイグロウジェム スキンシャドウ

1970年より続くハイプレステージブランド「コスメデコルテ」。その定番アイカラー「アイグロウジェム」を刷新しました。
コーセーが独自に開発した複合ゲルの効果により、まばたきしてもヨレない“化粧もち”と、美しい“濡れツヤ”の質感を両立させました。
肌への密着性に優れ、ヨレないだけでなく、発色・ツヤまでも長時間持続します。

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2024

メイク キープ ミスト リニューアル

Interview

くずれないメイクの代名詞「メイク キープ ミスト」に迫る

Interview メイク キープ ミストの開発の裏側
メイク製品研究室 大石 郁(写真左)
2015年入社。メイク製品研究室に所属し、ベースメイクアイテムの製剤化研究に従事。現在は、新規性の高い素材、製剤、サービスコンテンツ開発を担当。
メイク製品研究室 吉田 祥麻(写真右)
2017年入社。メイク製品研究室に所属し、リップメイクアイテムの製剤化研究に従事。2021年より、ベースメイクアイテムの製剤化研究を担当。
MAKE KEEP MIST(メイク キープ ミスト) | KOSÉ

コーセーの技術力を集約させて生まれたメイク キープ ミスト。2019年の発売以来多くのお客さまに愛用いただいている同商品について、初代と2代目(EX)の開発を手掛けた大石研究員と2024年のリニューアル(EX+)を担当した吉田研究員が、お互いに製剤開発の裏側やこだわりを語り合います。(掲載日 2024年1月30日)

「メイクがくずれるのは仕方ない…」お客さまの悩みがきっかけに

吉田:初めて聞いたとき、コーセーの中でも類を見ない斬新な商品だなと思いましたが、そもそもメイク キープ ミストを作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

大石:お客さまアンケートをとると、毎回悩みの上位に入っていたのが、「化粧くずれ」なんです。当時その悩みを根本的に解決する手段がなかったのと、 お客さまもある程度仕方がないと諦めていたところに潜在ニーズをすごく感じました。
今までの延長線上ではなくて、全部取っ払った中で、どうしたら新しい化粧文化みたいなものを作っていけるかなと考えたのが始まりです。

目指したのは、圧倒的な機能性と毎日使いたくなるような心地よさ

吉田:ミストという形状を選んだのはどうしてですか?

大石:例えばおしろいは、せっかく仕上げた化粧の質感を損なってしまったり、じっくり仕上げるメイクの工程が1つ増えることが面倒だろうなと。
ミストだと直接肌に触れることなく、かけるだけで、10秒もあれば終わってしまうような手軽さが魅力だと感じました。唇や目元といったパーツを絞らず、全方位をカバーできるのも、ミストの良さだと感じています。

吉田:ミストと聞くと、普通は化粧水のような1層のものを想像すると思いますが、メイク キープ ミストは水と油の2層になっているのが特徴ですよね。

大石:私も最初は水系の1層でどんな成分を入れるかをいろいろと検討しました。ただ、水に溶けるということはつまり汗にも弱いんですよね。そこで限界を感じました。
強固なメイクキープ成分は、油に溶けるようなものが多いんですが、どうしたらミストという形状で実現できるかを考えていました。

そこでひらめいたのが、水系と油系の2層にすればいいのでは?ということ。誰もやったことはないけど、やってみたらどうなるのかな?と思ってやってみたことが、ブレークスルーになりました。

吉田:商品化するにあたり、成分の組み合わせに悩まれたのではないですか?

大石:そもそも化粧くずれ防止を目指した2層のミスト商品がなかったので、いろいろなものを配合して評価して、と改良を繰り返しました。できたと思っても、実際にミストとして噴霧してみると詰まったり…かなり苦労しましたね。

メイク キープ ミストを新たな化粧文化として根付かせたい!という想いが強かったので、そのためには、お客さまが毎日気持ちよく使えることが最も大事だと考えていました。
キープ力が高いものって、肌がパリッとしたり、乾燥するようなイメージがあると思うので、逆にこんなに心地よく使えるんだというよいギャップを作りたいなって。一方で保湿力が高すぎても、せっかくマットに仕上げたメイクの質感が変わってしまうので、必要な成分だけに厳選していきました。

最終的に「メイクキープ成分」と「メイクコート成分」という大きく2種類の成分を入れているんですけど、この2つをどう組み合わせるかで、膜のしなやかさや、肌の負担感、汗・皮脂への強さ、ベタつきといった要素が決まってきます。この辺はかなりこだわり抜いて成分と配合を選びましたね。

お客さまの実感が口コミで広がり、想像以上の反響に

吉田:こだわりぬいて開発されたメイク キープ ミストは大ヒットでしたね。

大石:本当に想像以上の反響だったというのが率直なところですね。実はこれって発売時にCMなどの広告宣伝は全く行っていないんです。それにも関わらずこれだけ広がったのは、本当にSNSでの口コミで自然発生的に効果が拡散されていったからだというのが実感としてあります。圧倒的な機能性と毎日の使いやすさといった、モノづくりへの細部のこだわりがお客さまに伝わったなと思って、すごく嬉しかったです。

吉田:SNSではユーザー起点でのメイク キープ ミストの使い方もたくさん発信されていますよね。

大石:肌悩みやメイクの仕方もそれぞれ違うので、それに合わせてアレンジして使っていただいている方も多いですね。メインユーザーは20〜30代なんですけど、口コミを見ていると、娘さんが使っていたものをお母さんが使ってみたらとても良くて、そのまま使い始めたという声もあり、世代を問わずニーズがあることもわかりました。

私は開発した商品のエゴサーチをよくするのですが(笑)、口コミを見ると「もう手放せない」「何を使ってもこれに戻ってくる」といった声がすごく多くて、それを読んで、メイク キープ ミストが新たな化粧文化として根付いているなと実感できました。

吉田:開発者冥利につきますね。

大石:本当に嬉しかったですね。ただ一方で、コロナ禍になってマスクの着用が常態化する中で、「メイク キープ ミストを使ってもマスクについてしまいます」という口コミがあって。

研究者としてお客さまの期待に応えられていないことが悔しいと思いましたし、コロナ禍の中で奮闘する医療従事者や接客業の方にも、さらに心地よく使っていただきたいという想いがありました。そこで2021年3月に2代目の「メイク キープ ミスト EX」としてリニューアルしました。

2代目のリニューアルで1番難しかったのは、化粧もちをどう上げるかというところですね。化粧もちを上げようとすると、負担感ってどうしても上がってしまうものなので、メイクキープ成分の量を単純に増やせばいいという話でもありません。
そこで、成分を分子レベルで見直して、組み合わせの妙で化粧もちを進化させました。あとは、ミストをより細かくすることで、より均一に、より密に肌表面を覆えるようにしました。

メイク キープ ミストのあゆみ

さらに進化した3代目「メイク キープ ミスト EX+」

大石:そんな思い入れのあるメイク キープ ミストですが、吉田さんに開発をバトンタッチして、 2024年2月に3代目の「メイク キープ ミスト EX+」として新しくなりましたね。

吉田:3代目のリニューアルでは、メイクよれへの強さをさらに進化させる方向でしたが、最強のライバルが2代目でした(笑)。大石さんがやり尽くしたなという感じがあって。そこを技術的にどうパワーアップをさせるか非常に悩みました。

リニューアル前の商品は、強固なメイクキープ成分と柔らかい膜を組み合わせて、バランスの妙で成り立っているんですが、既存の原料でこれ以上の商品を作るには限界があると感じていました。

吉田:そこで、2代目が発売される頃にはさらなるパワーアップを目指し、先駆けて自社オリジナル素材の開発に着手しました。

オリジナル素材は、使用感としては本当に柔らかいんですが、擦ってもとれないくらいの強靭性も持っていて、相反する機能を2つ同時に兼ね備えています。ゴムのような素材なので、笑ったりして伸びたり縮んだりしてもメイクよれしづらいというのも特徴です。

これまでのものは、膜に少し隙間がある状態でしたが、より密に肌を覆ってくれるようになりました。その結果、水や汗を弾く効果がさらにアップし、スーパーウォータープルーフと言えるものになっています。

左:メイク キープ ミスト EX(リニューアル前)
右:メイク キープ ミスト EX+(リニューアル後)

コーセーならではの研究体制

吉田:私は、素材開発は得意分野ですが、ミストとして素材を活用する部分では知らないことも多くて、大石さんにいろいろ助けてもらいました。

大石:ゴムのような素材をミストという形状に落とし込むにあたっては、独自の観点が必要だったりするので、そこは本当にみんなで連携して取り組みましたよね。

吉田:研究というと、1人でもくもくとやるイメージをよく持たれますが、行き詰ったときに気軽に相談しながら作り込んでいけるのはうちの強みですよね。

吉田:今回のリニューアルもそうですが、足りない機能に対してオリジナル素材を充てることができるのも自社の特長だと感じています。素材開発から商品への応用まで研究者が一貫して行えますからね。それによってお客さまのベネフィットを最大化できているのかなと思います。

大石:ニーズにダイレクトに対応できますよね。素材の開発段階でも、その素材が商品にしたときに本当に使えるものなのかを必ず確認しているなど、ユーザー目線で素材を設計しているのは業界でも珍しいと思います。

これからも進化し続ける、コーセーのメイク キープ ミスト

大石:研究者としてもユーザーとしてもこだわりが強い私にとっても、メイク キープ ミストはやっぱり圧倒的な化粧もちと心地よさがあるなと自負しています。

吉田:私も研究の過程で効果検証や実際に商品を試していますが、メイク キープ ミストは本当にすごい商品だなと感じました。

大石:でも一方で常に進化していく必要はありますよね。メイク キープ ミストのような機能性商品はどんどん進化していかないと変化していくお客さまの期待に応えられないと思っています。

吉田:はい。市場を活性化していく意味でも、研究者としては絶対に進化させていきたいです。

大石:せっかくの機会なので、吉田さんが他に今後挑戦してみたいことを聞いてみたいです。

吉田:私は、新しい分野からの素材開拓をやってみたいですね。例えば食品業界などの化粧品とは異業種の素材を化粧品に活かしてみたいです。大石さんは?

大石:私は誰でもビューティを楽しんでもらえるような世の中を作りたいですね。ビューティって女性のものみたいな感覚が少し前まで強かったけど、全然そんなことはなくて、化粧品メーカー側から寄り添うことで、心理的ハードルを下げていきたいです。
あざや疾患がある方でも使えるものなど、きれいになるだけでなくQOLの向上につながるようなアダプタブルな商品開発にも取り組んでいきたいと思っています。

くずれないメイク