取り組み1:ジェンダーダイバーシティ(女性活躍・LGBTQ+、男女共同参画)
ジェンダーにとらわれずに誰もが活躍するために
1946年の創業以来、全ての社員が、性差に関わらず自分らしく自信をもって生きる社会へ貢献したいと思いを一つにして、お客さま一人ひとりのための“きれい”を提供できる化粧品をお届けしてきました。社内では、1999年の「男女共同参画社会基本法」の施行に先駆け、1985年にはコーセーグループで初めて女性の取締役が就任するなど、多様な価値観を企業のチカラへ反映する企業文化が、現在にいたるまで根付いています。
現在、コーセーグループでは、美容職を含めた女性の割合が従業員全体の約8割(詳細データ)を占めます。そのため、性差に関わらず、それぞれのライフイベントに合わせた柔軟な働き方ができる環境を整備し、安心して自身の能力を発揮できるための様々な取り組みを実施しています。 また、「コーセー サステナビリティ プラン」の取り組みテーマの一つ、「ジェンダーにとらわれずに活躍できる社会への貢献」を実現するために、社内に対して、女性活躍を含めた性差に関わらず自分らしさを最大限発揮できる環境整備の推進はもちろん、社会に対しても、女性のエンパワメントなどの支援の輪を広げていきたいと考えています。
ジェンダーダイバーシティ目標数値(KPI)
2026年目標 | 対象範囲 | |
---|---|---|
女性管理職比率 | 33.0% | コーセーグループ |
指導的地位にある社員の女性比率※ | 50.0% | コーセーグループ |
有給休暇取得率 | 80.0% | 国内グループ会社 |
育児休業取得率(女性) | 100.0% | 国内グループ会社 |
育児休業取得率(男性) | 100.0% | 国内グループ会社 |
育児休業取得者の復職率(女性) | 100.0% | 国内グループ会社 |
育児休業取得者の復職率(男性) | 100.0% | 国内グループ会社 |
指導的地位=部下を持つ者、もしくは部下を持たなくても同等の地位にある者
ジェンダーダイバーシティ指標実績:サステナビリティ関連データへ
取り組みステップ
STEP1:【両立支援の取り組み:制度整備】
介護・子育てや不妊治療・傷病など、どのようなライフイベントが発生した場合も、なるべく不安感を減らし、従業員が働く意欲を持ち続けられるサポート制度を用意しています。
例えば、育児休業からの復帰時に社内キャリアコンサルタントに今後のキャリアデザインを相談することができる窓口の設置や、子育て世帯やこれから子育てを希望する社員がお互いに悩みや解決策を共有しあえるコミュニティ活動「コーセー パパママラウンジ」を推進しています。また、子育て世帯の父母双方が職場で活躍するためには、父親側の積極的な育児参加が重要と考え、女性社員への支援に加え、男性育児休業制度の導入も行っています。2020年度には、男性育児休業の取得を促すための、「コーセーイクパパサポート制度」を導入。当事者と、当事者の上司や職場の意識向上を促すために、個別に制度利用についてのアドバイス等のサポートを実施し、育児休業を取得する男性社員には支援金を給付するなど、コーセー独自の取り組みを行っています。
コーセーイクパパサポート制度による男性育児休業取得の推進
コーセー パパママラウンジの実施
国内主要グループ(在籍1,000人を超える)における男性育児休業取得率
会社名 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
株式会社コーセー | 61.9% | 83.3% | 92.0% | 93.3% |
コーセー化粧品販売株式会社 | 63.6% | 61.5% | 92.9% | 100.0% |
株式会社アルビオン | 42.1% | 38.5% | 80.0% | 53.8% |
コーセーインダストリーズ株式会社 | 90.9% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
コーセーイクパパサポート制度利用者
コーセーイクパパサポート制度利用者
研究所
田中 章博
Akihiro Tanaka タナカアキヒロ
イクパパサポート制度を利用して、第2子のために1か月間育児休業を取得しました。
第1子は妻が里帰り出産をしたので、新生児をお世話するのは初めてでした。育児で全く自分の時間が取れないまま一日が過ぎていく中、『育休中に社会から取り残されたように感じてキャリアに対して焦る』と言っていた女性の同僚の言葉に共感しました。だからこそ、私ができることはなるべく全てやり、結果、業務復帰後も家事育児は夫婦で分担することが当たり前となり、とてもよい夫婦関係を築け、業務にもよい影響が出ていると思います。
上司と同僚に支えられた分、復帰後は、責任感をもって仕事の結果を残していきたいと強く考えています。
研究所 姫野 達也
私自身、『子育てには夫の協力は不可欠』と考えていたので、率先して応援しました。
早くからチームでバックアップする対応をしたので、業務にも大きな支障はありませんでした。
性別に関係なく仕事も家庭も全力で取り組めるように、これからも育児休業制度は男女どちらも取得を応援していきます。
記事内容および社員の所属は作成当時のものです。
その他、ライフイベントに関わらず、男性も女性も働き続ける意欲を持続するために、各種サポート制度を設定しています。
主な制度 | 内容など |
---|---|
結婚休暇 | 婚姻時に特別有給休暇を付与 |
結婚祝い金 | 婚姻時に祝い金を贈呈 |
出産前後休暇 | 出産に伴う母体保護を目的に、一定期間の休暇を付与 |
休業 | 育児、介護などを事由に、一定期間の休業を認める |
時間短縮勤務 | 育児、介護を事由に、一定期間の就業時間の短縮を認める |
事業所内保育所 | 関連会社事業所内保育所の利用をサポート |
出産サポート | 出産をした家庭に祝い金を贈呈 |
不妊治療支援 | 不妊治療と業務の両立をサポートするため、特定の有給休暇を設定(性別不問) |
育児支援給付金 | 保育施設等利用時の支援金の給付やベビーシッター利用助成 |
介護見舞金 | 介護休業開始後、一定期間経過毎に見舞金を給付 |
介護支援金 | 要介護認定を受けた場合(本人、家族)や介護休業を取得する場合に支援金を給付 |
ホームヘルパー援助金 | 一定の事由において、家事のサポートが必要な場合に、費用を一部サポート |
コーセーイクパパサポート制度 | 男性側の育児休業取得にむけた、上司・職場・当事者への個別アドバイスや取得者に対する支援金の給付 |
ジョブリターン制度 | 家庭事由や自己研鑽のため退職後、復職を希望する場合に応募が可能 |
女性特有疾患の早期発見サポート | 乳がんや子宮頸がんなど、女性特有の疾患に対する検診受診アドバイス検診の受診費用助成など |
キャリアデザインルーム | 産育休からの復帰時に、社内キャリアコンサルタントに直接業務との両立やキャリアプランなどについて相談できる窓口の設置 |
社内コミュニティ「パパママラウンジ」 | 子育て中のパパママ社員を中心に、子育てと仕事の両立に伴う解決策や悩みを共有し合えるコミュニティの運用 |
STEP2:【活躍支援の取り組み:風土づくり】
管理職に向けた女性の活躍を中心としたDE&I推進セミナー
十分な能力を発揮できるためには、一人ひとりの意欲に加え、職場全体の意識向上も必要であると考え、管理職を対象に、女性活躍を含むDE&I推進の意義や、アンコンシャス・バイアスへの理解促進などをテーマとしたセミナーやワークショップを実施しました。
また、長時間労働が常態化した職場環境では、子育て世代の女性が十分な意欲をもって活躍することが難しくなるという側面から、長時間労働の削減を実施することで、安心して働くことを継続できる職場風土を醸成しています。
2023年度からは、ライフイベントからキャリア、ウェルネスまで、多岐に渡る情報やイベントを実施する、社員のウェルビーイングを支援する社内プラットフォームを立ち上げ、「働きやすさ」と「働きがい」をサポートしています。
これらに加え、管理職の登用要件として、女性活躍をはじめとする部下のサポートや取り組み状況などを考慮しており、全社をあげて風土づくりが実効性を伴うようにしています。
環境整備から活躍の場を広げる取り組み
STEP 3:【登用支援:育成・強化に向けた取り組み】
管理職を含む、指導的立場に登用するための前段階として、モチベーション向上を目的とした研修を、性別に関わらず実施しています。その中では、自身のキャリアプランを考えるきっかけを提供しています。それに加え、出産など、様々なライフイベントにより登用の機会が損なわれることがないように、適正な人事評価に基づいたリーダー登用を実施しています。
また、近い将来マネージャーに相当する職位を目指す女性社員を中心に、女性をはじめとする多様な個性が活躍する重要性や、キャリアプラン構築に向けたセミナーを実施しました。そこでは、様々な場で活躍する女性社外取締役から直接レクチャーを受け、自ら多様なキャリアプランを描く重要性を理解することで、管理職登用への意欲を喚起しています。
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マインドセットとキャリアプラン構築を目的とした経営層によるセミナー
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女性執行役員が育児などのライフイベントとキャリアの両立について語るマインドセットを目的としたセミナー
ビューティコンサルタントの活躍のために
店頭などで活躍するビューティコンサルタントに対しては、販売職としての職務のスキルアップはもちろん、将来的に教育職や店舗責任者などへキャリアパスが選択できるように支援してきました。
取り組みの一例
2019年度 | 営業職、本社スタッフ職などへとキャリアチェンジ制度を導入 |
2020年度 | キャリアデザインを考える研修の計画をスタート。キャリア意識の調査、キャリア意識の醸成、個々のキャリア形成支援の3つのステップで、まずは美容教育職に実施 |
2021年度 | 独自のオンライン接客プラットフォーム「WEB-BC SYSTEM」による遠隔地のお客さまへの接客業務など、多様な働き方を選択でき、なおかつキャリアの継続につながる環境を提供 |
2022年度 | 社内キャリアコンサルタントがキャリアデザインにむけてカウンセリングをする「キャリアデザインルーム」の運用を開始 |
「WEB-BC SYSTEM」を使った接客の様子
その他、女性活躍における各種データは下記を参考にしてください。
社会に向けた女性活躍への取り組み
コーセーグループは、女性がいきいきと活躍できる支援の輪を社会へと広げていくために、女性をエンパワーメントする様々な活動に取り組んでいます。
アフリカ・タンザニアの女子中学生就学支援
コーセーグループは、特に女性の人権問題が深刻な、アフリカ・タンザニアの「さくら女子中学校」の支援を行っています。この学校は、経済的、ジェンダー的背景から、女児が十分な教育を受けられない環境にあるアフリカ・タンザニアの現状を改善するために、日本の有志による「キリマンジャロの会」が、2016年にキリマンジャロの山麓に設立した全寮制の中学校です。
特に、理数系の教育(STEM教育)に力を入れるこの女子中学校では、優秀な女子学生の教育環境を整えることで、将来の就業、活躍ができるようサポートを推進しています。
コーセーはこの活動に賛同し、生徒への学費支援(教育を受ける権利の支援)や卒業記念品の贈呈、また生徒が日本のコーセー本社に来社した際には、化粧品会社での仕事と女性の活躍について伝えるなど、女子生徒の学習意欲継続に向けた支援を行うことで、未来の女性の地位向上への取り組みを行っています。
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卒業式で寄贈品と共に記念撮影した様子
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コーセー本社で化粧品づくりを体験した様子
コスメバンクとの協働
昨今、コロナ禍の影響による雇用の悪化などを背景に、日本国内においても、非正規雇用者やひとり親世帯をはじめとした女性の貧困が社会問題化しています。女性のひとり親世帯の半数以上が相対的貧困下におかれているという厚生労働省の調査結果もあり、子供や家族のケアが最優先で、自分自身の化粧品の購入に至らない女性が増えているといわれています。コーセーグループでは、「“女性と地球にスマイルを”増やしたい」という理念に賛同する企業が集まって活動をする「コスメバンクプロジェクト(運営:一般社団法人バンク・フォー・スマイルズ)」に試験運用段階から参画し、現行販売品や販売されなくなった良品質な化粧品を寄贈し、全国の支援協力団体を通じて必要とする世帯に無償で提供する活動に協力しています。化粧品を通じて、社会に彩りと潤いのある価値を提供してきたコーセーグループにとって、この活動に賛同することは大変意義のあることだと考えています。
また、千葉県柏市、コスメバンクと当社が協働し、本プロジェクトを利用している女性の就労活動のサポートのために、就職活動に役立つ好感度向上のためのメイクアップセミナーを開催しました。
ブランドによる取り組み
コーセーグループの特色ある各ブランドにおいて、女性を支援する取り組みを行っています。 コスメデコルテでは、伝統文化の保護や生活サポート、環境配慮まで、あらゆる社会課題を解決するための支援活動を実施し、独自のサイト「DECORTÉ Sustainable Actions」の中で公表しています。その中で、「Find your true beauty~あなたの輝きは、やがて世界を照らす~」というキーメッセージを掲げ、年2回の国際デー(3月8日の国際女性デーと11月25日の女性に対する暴力撤廃デー)に合わせ、世界中の女性が誇りを抱ける社会の実現を目指し、商品やサービスをはじめとする事業活動を通じて、女性に対するエンパワーメントの啓発活動と活動支援を行っています。また、インフィニティでは、「美しさは力になる。咲かせよう、可能性の花。」をメッセージに掲げ、「Share the Bloomキャンペーン」として、エチオピアのバラ農園で働く女性の健康をサポートするために、繰り返し洗って使える生理用品を寄附する取り組みを行っています。
LGBTQ+の理解促進
多様な美を提案するコンセプトムービーを放映
従業員一人ひとりの多様な性(性的指向や性自認を含む)を尊重し、自分らしい環境で能力を発揮できる環境整備をすると共に、当事者に対する理解を促進する取り組みを行っています。
管理者向けのマネジメント教育の中では、国籍・人種・宗教・学歴・年齢などに加えて、多様な性についての理解に基づく人権尊重のための研修を実施するなど、人権啓発・教育を推進しています。また、LGBTQ+を含む多様なジェンダーに関する理解を促進するために、全社員向けに啓発を実施しています。2024年度からは、人事制度・福利厚生を改訂し、同性パートナーを休暇や休業、各種手当の事由対象に追加しました。
東京・銀座にあるコンセプトストア「Maison KOSÉ」では、多様性を店舗づくりの根幹に包括しています。ジェンダーや年齢にとらわれない「美」を表現したコンセプトムービーの放映や、どなたにも使いやすい化粧室表示など、LGBTQ+の当事者を含む、多様な個性を尊重した美しさの発信源としています。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
トップ
トップメッセージと推進体制
取り組み1:ジェンダーダイバーシティ(女性活躍・LGBTQ+、男女共同参画)
取り組み2:多様な個性への対応