低炭素移行計画

コーセーグループは、世界が直面する環境課題を自社にも関わるものとして、地球環境保全に取り組んでいます。特に、気候変動については、「事業成長」と「持続可能な社会の実現」の両立を図るために、欠かすことのできない重要な経営課題の一つとして認識しています。
気候変動のシナリオ分析の結果から、事業活動によるCO2排出に対して、気温上昇が産業革命以前と比べて1.5℃を十分に下回るための精力的な削減目標を設定する重要性を強く認識し、低炭素移行計画を策定しました。

目標設定の背景

コーセーグループは、2020年にサステナビリティ戦略を策定し、社会課題解決に向けた持続可能な取り組みを推進しています。近年では、全世界で気候変動への対応が急務となる中、コーセーグループの果たすべき責任と役割は大きくなっていると認識しています。
コーセーグループでは、気候変動という大きな課題に対して、コーセーグループ全体で脱炭素に積極的に貢献するよう、CO2削減目標を設定しています。2022年7月には、SBT1.5℃目標へ準拠した目標へ上方修正し、SBT1.5℃目標の認定を取得しました。同時に、2050年ネットゼロ目標を新規策定しました。

2030年までにScope1・2のCO2排出量55%削減(SBT1.5℃目標認定を取得)、Scope3のCO2排出量30%削減(SBT認定を取得)

いずれも2018年度を基準

2040年までにカーボンニュートラル達成(Scope1・2)

2050年までにネットゼロ達成(Scope1・2・3)

CO2排出量については、第三者検証を実施

コーセーグループはScope3の排出削減目標にCat11「製品の使用段階での排出量」​を含めて設定していますが、これらの目標項目はGHGプロトコルにおいて任意算定​項目になっていることから、SBTIの要求により、SBT目標の範囲には含めていません。​

目標設定の図

バリューチェーン全体における脱炭素戦略の推進

コーセーグループでは、生産だけではなく(Scope1・2)、原材料の調達から廃棄にいたるまでの製品ライフサイクルにおいて(Scope3)、環境負荷低減に積極的に取り組んでいます。

製品ライフサイクルにおけるCO2排出量
製品ライフサイクルの図 調達→生産→輸送→販売した製品の使用(Scope3)→販売した製品の廃棄(Scope3)

CO2排出量の現状

コーセーグループのCO2排出量削減活動としては、自社の事業活動からバリューチェーン全体に至るまで幅広い視点で意欲的に取り組んでいます。

  • 2021年度Scope3実績の円グラフ
  • 削除注力カテゴリーの図

脱炭素計画の具体策

対策範囲 実行内容 詳細
Scope1 省エネ 群馬工場2018年新棟の省エネ設計
Scope2 創エネ 群馬工場にてコジェネレーションシステムを使用
省エネ 群馬工場、狭山工場、その他一部の拠点にて再生可能エネルギー調達
アルビオン白神研究所での環境価値付きメニューの調達
事業所でのLED化推進
Scope3 原材料調達
(カテゴリー1)
低炭素、プラスチック削減などのサステナブル原材料の採用
輸送
(カテゴリー4)
モーダルシフトの推進
製品の使用
(カテゴリー11)
節水など環境配慮型製品の開発
製品の廃棄
(カテゴリー12)
プラスチック容器回収プログラム
容器や包装のプラスチック使用量の削減

脱炭素の取り組み(Scope1・2)

省エネ(Scope1・2)

遮光ネットの使用やオフィス照明のLED化など、省エネ対策を実施し、使用電力の削減を推進。

  • 遮光ネットの写真

    コーセーインダストリーズ群馬工場

  • 本社オフィスの写真

    コーセー本社オフィス

再エネ(Scope2)

コーセーインダストリーズ群馬工場

2021年1月から、コーセーインダストリーズ群馬工場にて再生可能エネルギーを調達。コーセーインダストリーズ群馬工場(2021年1月~)、狭山工場(2023年2月~)にて再生可能エネルギーを調達。
導入した再生可能エネルギーの調達を継続し、購入電力由来のCO2排出量削減を推進。

創エネ(Scope2)

コーセーインダストリーズ群馬工場
天然ガスを利用したコージェネレーションシステム

群馬工場にて、コージェネレーションシステムを使用。
天然ガスを利用して自家発電するとともに、原動機から出る廃熱を化粧品製造に有効活用することで環境負荷を低減。

脱炭素の取り組み(Scope3)

コーセーグループでは、工場や研究所、オフィスなどで排出されるCO2排出量削減だけでなく、バリューチェーン全体を通しての環境負荷軽減に取り組んでいます。バリューチェーン全体の排出量(Scope3)中でも大半をしめるカテゴリーを中心に削減を進めていきます。また、プラスチックごみや廃棄物問題など社会課題の解決に貢献するための削減活動にも取り組んでいきます。

商品における取り組み(カテゴリー1・12)

「コスメデコルテ」の「リポソーム アドバンスト リペアセラム」容器にバイオマスプラスチックやガラスを採用
リポソーム アドバンスト リペアセラムの容器写真

ボトルやキャップにバイオマスプラスチックを採用。
30mL・50mLタイプはガラス容器を採用。

コスメポート「サロンスタイル ビオリス ボタニカル」の容器に再生PET樹脂を採用
ジュレームつめかえ増量タイプのパッケージ写真

「サロンスタイル ビオリス ボタニカル シャンプー(ディープモイスト)」本体、
つめかえ、つめかえ大容量の容器に、再生PETを採用。

「雪肌精クリアウェルネス」シリーズにバイオマスプラスチックや段ボール素材を採用

環境にやさしい素材を積極的に採用し、素材の質感をそのまま活かしたパッケージで環境負荷を低減。

「雪肌精クリアウェルネス」シリーズ商品写真
「雪肌精クリアウェルネス」シリーズ商品写真
「雪肌精クリアウェルネス」シリーズ商品写真

物流や店頭における取り組み(カテゴリー1・4・12)

化粧品コーナー用のコルトンフィルムに環境配慮素材を採用
雪肌精グローバルコーナー用コルトンフィルムの写真

雪肌精グローバルコーナー用コルトンフィルム素材を従来のプラスチック素材からLIMEX(ライメックス)に変更。
LIMEXは、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合材料で石灰石を主原料としているため、プラスチックの使用量の削減に貢献。

物流における取り組み
配送トラックの写真

同業他社とのチャーター便共同利用や全国物流拠点への配送便の積載効率向上に加えて、モーダルシフトの推進により、関東から北海道、九州への配送は鉄道輸送を実施し、環境負荷の低減に貢献。

店頭における容器回収の取り組み
使用済みプラスチック容器回収箱の写真

コーセーのコンセプトストア「Maison KOSÉ銀座」および、イオングループが展開する全国の「イオン」「イオンスタイル」33店舗にて、「雪肌精」などの使用済みプラスチック容器回収プログラムを実施。

原材料調達におけるCO2排出削減​(カテゴリー1)

< サプライチェーンエンゲージメント戦略 >

コーセーの調達活動における基本的な考え方を、「品質と安全性の確保」「公正・公平」「法令・社会規範の遵守」「共存・共栄」「情報セキュリティの保持」の5項目にまとめた「調達基本方針」 として定め、公開しています。地球環境保全・資源保護や安全、人権等に配慮し、サステナブルな調達に向けて取り組むこととしています。​

◆ サプライヤーとのエンゲージメント
当社は、“サステナブルな調達ガイドライン” を定め、サプライヤー様とともに取り組んでいます。取引のあるサプライヤー様のうち、過去3ヶ年のお取引が一定の金額以上をみたす会社を主要とし、その主要サプライヤー様に向けて、CSR調達に関する自己評価アンケート調査(以下 SAQと記載 SAQ; Self-Assessment Questionnaire)を毎年行っています。Sedexへ加盟し当社と情報連携しているサプライヤー様に対しては、そのSAQを、それ以外に対しては、国連グローバルコンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)のCSR調達セルフ・アセスメント質問表を活用しています。​

< SAQ調査での確認事項 >

社会的責任と人権尊重に関する対応:

  • 法令および企業倫理方針の遵守​
  • 安全衛生に配慮した職場環境を提供すること​
  • 人種、国籍、宗教、信条、障がい、性別、年齢、出身地、性的指向等による差別・児童労働・強制労働を排除し、社会的弱者へ配慮すること​
  • 腐敗防止、贈収賄禁止   等​

地球環境保全・資源保護に関する対応:

  • エネルギー・水の使用量や廃棄物量を把握し削減目標を管理すること​
  • 公害を防止するため、法規制に関わる化学物質・排出物質を管理すること​

◆ 森林関連問題に対する対応​
当社では、化粧品原材料に欠かせない原材料の一つとして、「パーム油」を使用しています。​
「パーム油」の原産国においては、森林の違法伐採や土地利用転換による森林面積の減少といった、社会課題を抱えている国も多く、気候変動緩和に重要な役割を担っているCO2吸収源としての森林面積の減少は、私たちにとっても重要な課題の一つです。そこで、私たちは「サステナブルなパーム油」の調達により森林関連問題へも対応を進めています。

脱炭素社会の実現を目指して

コーセーグループでは、中長期ビジョン「VISION2026」で掲げる「ビューティパートナーシップ」のもと、CO2排出量削減活動を、自社の事業活動だけでなく、バリューチェーン全体に至るまで、持続的な企業価値向上を目指し、脱炭素社会への実現に向けた取り組みを推進していきます。

環境 地球環境のために