商品における取り組み
コーセーでは「人はもちろん、地球の環境にもやさしい化粧品づくり」に力を注いでいます。原料や材料の選択に厳しい基準を設けるだけでなく、使い終わった後の分別しやすさ、廃棄のしやすさ、廃棄量を少なくすることなども考慮して研究開発を行っています。今後も、お客さまのご要望や市場のニーズに配慮しながら、気候変動への適応として、環境にやさしい商品の開発を積極的に進めていきます。
コーセーグループでは、2030年までに4R※に適合した容器包装資材の採用やバイオマス/リサイクル樹脂の採用比率(樹脂量)を50%まで高めることなどに積極的に取り組み、プラスチック容器包装資材についての サステナビリティに配慮した設計率100%を目指しています。
Reduce/Reuse/Recycle/Renewable
容器・包装における取り組み
化粧品の容器・包装は中身を安定に保ち、使いやすくする機能とともに、製品についての様々な情報や世界観を伝える大切な役割を担っています。しかし化粧品は消費財であり、こうした役目を終えた後の容器・包装物は、いずれゴミとなり廃棄されるため、その時の環境負荷にも配慮して、容器・包装の開発を行なっています。
容器や包装のプラスチック使用量を削減
当社の中でも販売数量の多い『雪肌精』のサンプロテクトジェルでは、2014年より包装方法を1個箱からフィルム包装の袋にすることで大幅にプラスチック使用量を削減してきました。この包装方法は、「メイク キープミスト EX」等に広く活用しています。
『雪肌精』の全面的なリブランディング実施にともない、袋の材質に「紙」を採用することで、包装のプラスチック使用量を削減しました(グラフ)。
その他、【つめかえ】や【付けかえ】容器を積極的に採用し、環境負荷の低減を図っています。
例えば、「雪肌精 クリアウェルネス ナチュラル ドリップ」のつめかえの場合、本体容器に比べプラスチック使用量を約80%削減しています。また、使用済の本体容器を廃棄する頻度が減ることで、プラスチックの廃棄処理に伴うCO2排出量の削減にもつながります。
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(1)容器をコンパクト化した事例
増量したにもかかわらず、サイズを小さくしました。
また、プラスチックストローがなくても注ぎやすいパウチ容器を採用し、プラスチック量を0.9g削減しました。 -
(2)プラスチック製透明箱から
紙製の箱に改良した事例箱の材質をプラスチックから「紙」にしたことにより、CO2排出量を約5トン削減しました。
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(3)フィルム包装の袋を採用した事例
フィルム包装の袋を使用したメイク製品
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(4)袋の包装に「紙」を採用した事例
底をつけて、吊り下げるだけでなく、立たせて陳列することもできるようにしました。
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(5)ポンプや内容器を付けかえる仕様の事例
「リポソーム アドバンスト リペアセラム」は、75mL用の付けかえ用レフィル容器をラインナップすることで、プラスチック使用量を約49%削減しました。
30mL・50mLの本体容器は、ガラス容器を採用しました。 -
(6)つめかえ用にパウチ容器を採用した事例
「ONE BY KOSÉ ディープハイドレーター」のつめかえ用パウチ容器の場合、本体容器に比べプラスチック使用量を約89%削減しています。
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(7)緩衝用トレイに紙混成合成樹脂を採用した事例
「フローラノーティス ジルスチュアート ビタースウィートオスマンサス オードパルファン&リペアヘアオイル」は、
緩衝用トレイに紙混成合成樹脂を採用し、プラスチックの使用量を従来の同製品に比べ約51%削減しました。
廃棄を考慮し、トレイに『紙が主原料』・『もやせるトレイ』と彫刻しました。
(8)容器にスパウト付きスタンディングパウチを採用した事例
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「ONE BY KOSÉ ダブル ブラック ウォッシャー」のスパウト付きスタンディングパウチ容器は、チューブ型容器に比べプラスチック使用量を約50%削減しています。
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「CT 毛穴小町 ブラックピールオフパック」は、最後まで中身を無駄なく使える仕様を開発することで、使いやすさと環境配慮を提供しています。
(9)容器に「紙」を採用した事例
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当社で初めて、紙製キューブ型容器を採用。
これにより、プラスチックで同じ容器を作った場合と比較して、プラスチック使用量を約55%削減しました。
分解して廃棄できます。 -
「ヴィセ 30th グラマラス レイヤード パレット」の容器の蓋と身部分に紙を採用し、10色のアイカラー・フェイスカラーをセットしました。
容器裏面には、わかりやすいように色名を表示しました。
(10)材質を薄くし環境配慮容器を採用した事例
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サロンスタイル ビオリス ボタニカル
シャンプー(ディープモイスト)本体樹脂使用量を約21%削減、再生PETを使用し
約36.6%のCO2排出量を削減 -
サロンスタイル ビオリス ボタニカル
シャンプー(ディープモイスト) つめかえ大容量樹脂量を約20%削減、再生PETを使用
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(11)バキュームからシュリンクを採用した事例
バキュームによって、商品を台紙に固定していたが、シュリンクを採用することで、商品を台紙に固定するだけでなく、バージン性をたもつこともできるようになりました。
(プラスチック量 約88%削減) -
(12)リニューアルにともないプラスチック量を削減した事例
既存品と容器の形状や耐久性を変えずに、プラスチック量を約8g削減しました。
つめかえしやすく
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中栓が簡単にあけられる
容器
ポンプ式でない容器でも、つめかえしやすいように、口元が大きく中栓が簡単にあけられるような容器を開発しました。
異材質使用容器を分離しやすく
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簡単に分離できる設計の
容器
金属とプラスチック、ガラスとプラスチックなど異材質を使用した化粧品容器は、そのままでは資源としてリサイクルすることができません。それぞれのパーツを簡単に分離できる工夫をほどこすことによって、分別廃棄をしやすくしてリサイクルを可能にしています。
バイオマスプラスチックの活用
雪肌精 クリアウェルネス オーバーナイト クリーム
商品の容器の一部にバイオマスプラスチックを採用することで、石油由来原料の使用量削減および商品のライフサイクル全体におけるCO2排出量の低減に貢献しています。バイオマスの活用により、温暖化問題の解決や循環型社会の実現に向けたグローバルな取り組みを推進しています。
例えば、 「雪肌精 クリアウェルネス オーバーナイト クリーム」では、商品の容器の一部(内容器)にマスバランスアプローチ※1によるバイオマスPP※2を採用しています。本PPは、再生可能エネルギー事業に取り組むNESTE社※3が製造したバイオマス由来原料が使用されています。
※1 マスバランスアプローチ
「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の 一部に対してその特性の割り当てを行う手法。」(環境省バイオプラスチック導入ロードマップ)を言います。
例えば、原料に1割のバイオマス由来原料を投入すれば、1 割の製品が100%バイオマスプラスチックとみなされます。
※2 バイオマスPP
原料として植物油などの再生可能な有機資源を使用するポリプロピレンの略称。
※3 NESTE社
バイオマスなど再生可能エネルギー事業に強みをもつ先進的なフィンランドのエネルギー企業であり、世界で最も持続可能な企業 100 社(Corporate Knights Global 100 Index)に18年連続(2024年時点)で選出されています。
グリーンナノ(樹脂の添加剤)素材を採用
パッケージ(ラミネート袋)や、「ピュア コンク SS」「リファイニング ミルク SS」のサンプルパッケージには、廃棄後に焼却される際のCO2 の発生を抑制する効果が見込まれるグリーンナノ(樹脂の添加剤)素材を採用しました。
グリーンナノ技術によりプラスチック燃焼時に発生する二酸化炭素(CO2)排出量を約60%削減しました。
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雪肌精 クリアウェルネス
ピュア コンク SS マスク -
雪肌精 クリアウェルネス
1 Day トライアル フリー SS -
「ピュア コンク SS」「リファイニング ミルク SS」のサンプルパッケージ
リサイクル材料の使用
(1)コーセーでは、化粧品容器をグループ会社でも製造しており、プラスチックの成型時に発生する残材を再材料化する装置を独自に開発し、キャップやサンプル容器の材料として積極的に再使用しています。
製品のキャップについては、2022年6月から再生プラスチックの配合率を50%に引き上げています。
このことにより、石油由来のプラスチックの使用量を減らし、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげています。
再生プラスチックの配合率を50%に高めたキャップを採用した商品
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インフィニティ
アンリミテッド キー -
雪肌精 みやび
サイクレイター B -
雪肌精 クリアウェルネス
フェイス オイル トリートメント
(2)プラスチック部分の94%にリサイクル素材を活用したコンパクトケースを開発しました。
手に取る角度によって色が変わるプリズムカラーと、静けさを感じさせるグレーを組み合わせたデザインで、秋コレクションのテーマである“SO PRISMATIC(ソー プリズマティック)”の世界観を表現。
天板のニュアンスある色味に合わせた本体の繊細なグレーも再生プラスチックで再現しています。
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ザ コンパクト ケース Ⅰ “ソー プリズマティック”
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ザ コンパクト ケース Ⅱ “ソー プリズマティック”
(3)商品のボトル容器にケミカルリサイクルPET素材を採用
スキンケアブランド『プレディア』と『雪肌精』の一部の商品のボトル容器に、ケミカルリサイクルPET素材を採用し、2022年12月より、順次、新ボトルを使用した商品の生産を開始しました。
ケミカルリサイクルPET素材は、使用する資源を削減できるだけでなく、一般に化粧品容器に使用されるPET素材と比べ、製造過程におけるCO2排出量の削減にもつながり、地球環境に配慮した重要な取り組みと考えられます。
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プレディア
オイルドロップ -
プレディア
バイタルスピリッツ
アドバンスド -
プレディア
ホワイトV -
プレディア
スパ・エ・メール
G セラム -
雪肌精
クリアウェルネス
ジェントル ウォッシュ
(4)商品のキャップにメカニカルリサイクルPP素材を採用
今回のメカニカルリサイクルPPは、回収された使用済みポリプロピレンを選別、粉砕、洗浄して、表面の汚れや異物を十分に取り除いた後、高温下に曝すことで樹脂内部に留まっている不純物を取り除き再生しました。
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コエンリッチ ザ プレミアム
薬用リンクルホワイト ハンドクリーム -
コエンリッチ ザ プレミアム
薬用 CICA リペア ハンドクリーム
1個箱にリサイクルPETを使用
(5)化粧品の容器に再生材料の使用を進めており、一部商品に「PETボトル リサイクル推奨マーク」付のプラスチック箱を採用しています。
(6)ポンプ機構部の金属製バネをプラスチック製にした 「メタルレスポンプ」の開発に成功
化粧品容器でも多く使用されているポンプディスペンサーは、大部分はプラスチックから構成されますが、中味を吸い上げる重要な役割をもつ機構部に耐久性を考慮して金属製のバネが使用されており、その性能をプラスチックで再現することが非常に困難であることから、これまで使用されてきませんでした。
この度、コーセー、アルビオンと吉野工業所3社で開発した「メタルレスポンプ」は、金属製のバネに近い強度や性能を発揮する素材の検討や形状設計をし、中身を吸い上げる強度や耐久性を繰り返しテストすることで、目標の品質を実現しました。リサイクルの難しいプラスチックの削減に向けたモノマテリアル化の第一歩として、金属部品を使用しない本品を足がかりに、パッケージに使用する素材の単一化、使用素材の種類の削減に取り組み、廃棄後の分別回収を容易にし、プラスチックのリサイクル促進に繋げます。
商品の1個箱にダンボール素材を使用
「雪肌精 クリアウェルネス」では、商品の1個箱は、日本でのリサイクル率が 90%以上と言われるダンボール素材を採用しました。
また、輸送や陳列時に安易に開封できない構造にし、フィルム状の商品外装のティアテープ包装を廃止することで、プラスチック使用量を削減しています。
再生紙や認証紙を使用
商品の1個箱や能書、パンフレット、ダンボール箱などすべてのもので再生紙の使用率を高める努力をしています。再生紙を使用していない紙のパッケージには、認証を受けた森林で伐採された木材から得られた紙(認証紙)を使用しています。
サトウキビのカスから生まれた紙を積極使用
箱の素材にバガスを使用
森林保護のために、バガス※など木材を使わない紙を積極的に使用しています。
サトウキビの搾りカスを原料とした紙
糊付けしていないパッケージ箱
マグカップをイメージした「ジルスチュアート リップバーム」のパッケージ箱は糊付けしていません。
分解しやすく、リサイクルもしやすくなっています。
添付能書の削減
1個箱の内側に能書を印刷、側面にQRコードを印刷
商品の1個箱(外箱)の一部に化粧品の使い方など能書にあたる説明文を直接印刷し、紙による能書の添付をしない商品を増やす努力をしています。
現在、多くの商品で採用し、商品によっては箱の内側に記載するなどの工夫もしています。
また、QRコードを発行することでデジタル化し、できるだけ紙の使用量を減らしていきます。
「雪肌精 クリアウェルネス」では、商品に印字するインキは、生分解されやすく、環境負荷の少ないバイオマスインキを採用しました。
1個箱への表記は、当社が定めたユニバーサルフォントを使用し、どなたにも読みやすい大きさと書体にしています。
商品内容物における取り組み
化粧品の内容物についても、環境に配慮した原料植物の採用や、使用後の環境負荷にも配慮した商品開発を行なっています。
マイクロプラスチックビーズへの対応
マイクロプラスチックビーズは洗浄料などの洗い流し用製品に配合されている原料です。人体に対する安全性が高く、優れた機能性を持つ原料として用いられてきましたが、昨今、環境面への影響に関する懸念が国内外で指摘されています。
コーセーグループでは、国際的な社会の関心に配慮して、2014年度に開発の新しい洗浄料からその配合を中止し、環境負荷の低い植物性原料などに置き換えるなどの対応を行いました。また、既存のマイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の切替も完了し、2018年1月以降は、マイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の国内外への出荷を一切行っておりません。
生分解性原料を積極的使用
生分解性のアミノ酸原料を使用
洗顔料やシャンプー等の商品では、万一河川に排出されても自然界の微生物によって分解されやすい生分解性のアミノ酸系原料を使用しています。「コスメデコルテ」、「雪肌精」、「インフィニティ」、「スティーブンノル」、「ジュレーム」、「ソフティモ」、「サロンスタイル」などほとんどのブランドで採用しています。
生態系の保全に配慮した原料調達
植樹直後のモリンガの木
原料調達では、生態系の保全や地域社会の支援に力を注いでおり、「コスメデコルテ」、「スティーブンノル」、「ADDICTION」の商品には、生態系の保全に配慮した成分を配合しています。
「フローラノーティス ジルスチュアート」は、一般的な樹木に比べて約20倍ものCO2を吸収することができるモリンガの植樹活動や、そこから抽出されるモリンガオイルを配合しています。
また、同ブランドは「環境に配慮したモノづくり」「CO2吸収作用のある原料の使用」「植樹による生態系の保護」を活動方針に掲げています。
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