人的資本経営:組織風土の深化と進化
「美を通じて世界に寄り添い、一人ひとりの生涯を彩る」企業を目指し、独自の価値を創出するためには、ともに働く仲間の「英知」と「感性」が必要不可欠です。当社グループでは、社員を大切なステークホルダーの一員であると考え、バックグラウンドの異なる社員がそれぞれの能力を最大限発揮できるよう、今まで育んできた助け合い・高め合うコーセーらしい組織風土を強化し、社員一人ひとりのマインドや行動様式にポジティブな変化をもたらすための取り組みを検討していきます。
社員エンゲージメントの高まりが生み出す好循環のために
コーセーでは、従業員は企業価値向上を支える大切な財産であり基盤と捉えています。従業員のエンゲージメントや貢献意欲が高まることが、組織の活性化につながり、競争力強化につながると考えています。そのため、働きやすく、働きがいのある職場づくりを目指して、定期的に社員意識調査や360度評価を実施しています。調査の結果は、経営層や政策検討会議などで報告し、調査結果の分析、課題の整理、施策の検討・実施を進めています。2024年度の調査では、会社へのロイヤルティや仕事への充実感が、社会全体の平均値と比べて高い傾向にあることがわかった他、自社で働くことへの誇りや自社商品への愛着を高く持つことが分かりました。一方で、他部署との連携には改善の余地があるとの結果が示されています。
今後は組織横断型のプロジェクトや活動を活発化させ、部門間での協働機会を増やして連携強化をはかります。その指標として、社員意識調査の「他部署との連携」におけるエンゲージメントスコアの推移をトレースし、向上を目指します。

2024年度「従業員意識調査」調査結果より一部抜粋
エンゲージメントスコア
2030年までの目標:「他部署との連携」スコア3.46以上
5段階評価
調査対象:アルビオンを除くコーセー国内グループ
風土醸成の仕掛けづくり
働きがい創出実行委員会
コーセーでは、2017年度から「働きがい創出実行委員会」を設置し、委員長・副委員長は主に経営幹部や人事部門責任者が務めています。活動メンバーには部門横断型の多様な社員を選出し、誰もが働きやすく、チャレンジできる風土や制度をつくることで、社員一人ひとりの働きがいを創出し、これまでの延長線上にない新たなアイデアや価値を創出し続けることを目的としています。この委員会活動により「ジョブリターン」や「イクパパサポート」などいくつもの施策が制度化され、また子育て世代の横の繋がりを深めるための社内コミュニティを立ち上げるなど、多様な背景・価値観を持つ社員一人ひとりが活躍できる風土づくりをしています。
セカンドホーム制度
入社1年目の社員に対し、様々な部署・世代の社員で社内家族を構成します。定期的な交流(ファミリーデー)を通じて、公私ともに相談し合えるアットホームな関係構築が叶う当取り組みは、社員からも好評です。この制度は入社1年目社員の発案により、2022年よりスタートしました。
経営陣と社員のコミュニケーション
当社は、企業文化を醸成するためには経営陣と従業員の対話が重要であるととらえています。意思疎通の機会のひとつとして、経営陣が定期的に社員向けメッセージを発信し、経営方針や事業戦略の共有を行うことで、従業員のエンゲージメント向上と組織の一体感を促進しています。
また毎年、それぞれの役割の中で活躍し、大きな成果を収めた社員を経営陣から表彰する社内アワードを執り行っています。これは、社員の挑戦する意欲と業務に対するモチベーションへの働きかけのひとつとなっています。
セレンディピティ(偶発的)な出会いに向けた仕掛けづくり
社内外のコミュニケーションやコラボレーションの活性化によって、今までの延長線にない柔軟な発想によるアイデア創出やセレンディピティを誘発させることで、新たな価値の創出を目指します。
2020年に開設されたKocoLabo(日本橋本社)は、社員のリフレッシュや情報交換の場、セミナーの開催、試作品の評価や新ビジネスの PoC(実証実験)の場として広く活用されています。また、オンライン社内報である「PLAZA KOSE ONLINE」は、全社情報を発信するだけでなく、他部門の活動や取組みを知るプラットフォームとして活用されています。

「KoCoLabo」全体像

オンライン社内報「PLAZA KOSÉ」
人権に関する教育・啓発とダイバーシティマネジメントの推進
企業の成長や競争力の源泉となる従業員の成長には、健全な職場環境が大切です。コーセーでは、多様な個性を持つ人材が力を発揮できる職場環境や風土醸成を目指し、人権啓発とダイバーシティマネジメントを推進しています。「コーセーグループ人権方針」や「コーセーグループ行動指針」において、各人の人権を尊重し、差別につながる行為は一切行わないことを定め、職場における認識、理解を促進し、多様性を尊重する健全な職場環境づくりに努めています。
それに加え、コーセーグループは、従業員の権利を尊重しています。差別的待遇の禁止・同一労働/同一賃金の原則・児童労働や強制労働の禁止・結社の自由と団体交渉権の尊重などを含む「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」などの国際的な原則に従い、事業を展開する国・地域の労働関係法令や労使協定を遵守し、従業員や従業員の代表と誠実に対話・協議を行い、建設的な関係構築に取り組んでいます。
人権にまつわる社内啓発については、特定部門や、従業員の職位単位でそれぞれにおいて必要と考えられる知識や意識を醸成していくため、多様な形態の啓発活動を行っています。
人的資本経営
人的資本経営
①事業戦略推進のキーとなる人材の充足
②個の強化・自立への支援
③組織風土の深化と進化
④適材適所の配置
健康経営
ノーマライゼーション支援