人権デュー・ディリジェンス
人権デュー・ディリジェンスの進め方
コーセーグループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の手順に従い、各国の法・規約に基づきながら、人権デュー・ディリジェンスを進めています。
これは、当社グループの人権方針に基づき、①「負の影響評価および課題の特定」 ②「適切な措置の実施」③「モニタリング・追跡評価」④「情報開示」を行い、外部ステークホルダーとのコミュニケーションを図る継続的なプロセスです。
人権デュー・ディリジェンス
コーセーグループの取り組みステップ
人権への負の影響の特定・人権課題の整理
国連「ビジネスと人権の指導原則(UNGPs)」で示された行程のうち、①「負の影響評価および課題」の特定のために、「人権リスクアセスメント」(事業活動が人権に及ぼす潜在的なリスク評価)
を2021年度から継続して実施しています。
これは、当社グループが事業を展開している国ごとの人権リスクについてのデスクトップ調査と共に、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP
FI)が策定した人権ガイダンスツール(Human Rights Guidance
Tool)を参考にした化粧品・日用品業界特有の人権課題(CRT日本委員会発行)を活用し、事業バリューチェーン上で起こりうる顕在的・潜在的人権リスクについて、社内(関連グループ会社含む)8部門で整理を行ったものとなります。また、国内外の部門への追加ヒアリングによるリスク度の確認に加え、パームヤシの小規模農家・市民社会を代表するNPOとの対話活動・社員満足度調査といったライツホルダーとのエンゲージメントを通じて得られた社会的視点を含め、国内外での潜在的・顕在的な人権への負の影響の発生可能性、またそれらに対し当社グループが実施している予防・是正措置の状況から、特に重要な人権課題を評価しました。
事業バリューチェーンは、研究企画開発・調達・生産・物流・オフィス・広告、宣伝・販売・(お客さまの)使用・廃棄の各段階にて検討しました。また影響を与える可能性のあるライツホルダーは、外部サプライチェーン、自社事業所の従業員(雇用関係問わず)、お客さま・社会(事業地域周辺の先住民族、地域住民、移民なども含む)を想定しています。人権指標として、①LGBTQ+や女性を含むジェンダー②各種労働環境③宗教的・文化的背景も含む人種や国籍④衛生関連を含む安全性⑤その他(環境や居住・障がいの有無・年齢・就業経験など)を設定しています。
2022年度には、リスクアセスメント体制を拡充、コーセーグループ内の全事業拠点を対象(47拠点・部門)に、人権セルフチェックシートによる調査をあわせて実施しました。(回答率 100%)これは、各拠点・事業毎の特性により異なる人権リスクと対応策について把握するための定性調査です。これらの情報を統合し、短期・中期的な観点から、潜在的なリスクをマネジメントするガバナンス体制の実施を継続的に行っていきます。
コーセーグループで特定した人権への負の影響一覧
潜在的 人権リスク |
人権指標 | バリューチェーンとライツホルダー(人権保有当事者) | ||
外部サプライチェーン (仕入先・製造/物流委託先など) |
自社事業所 (研究・生産・社内物流・オフィス・営業、販売現場など) |
社会 (情報発信やWEB・広告、お客さまの使用時など) |
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取引先従業員/周辺住民 | 従業員/周辺住民/リクルーター | 生活者一般/お客さま | ||
ジェンダー |
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労働環境 |
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– | |
人種・国籍 |
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安全性 |
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その他 |
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当社の主な取り組み |
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■労働環境衛生の配慮と健康経営の推進 |
■多様なお客さまに対する商品・広告・サービスの提供
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苦情処理メカニズム |
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その結果、コーセーグループで特に顕著な人権課題として、「原料調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握」「社内ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンおよび職場の人権」があげられました。「原料調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握」に関しては、特にパーム油のプランテーション開発に関わるサプライチェーン上で、強制労働・児童労働などの労働環境にまつわる人権侵害が行われていないか、継続的に把握する必要があることがわかりました。これは、当社グループではパーム油由来の原料を広く化粧品に使用していることから、万が一人権侵害が発生した時にライツホルダーに対して影響を与える規模の大きさや、国際社会でのレポート等による顕在化可能性の高さなどから判断をしています。「社内のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンおよび職場の人権」においては、ハラスメント防止や女性活躍推進、コンプライアンス全般に関する社員の意識は高いと判断した一方、LGBTQ+など多様な性に対する十分な社内教育啓発活動には至っていないことから選定しています。また、当社グループでは特定技能実習制度を利用した従業員はいないことを確認していますが、企業のグローバル化に伴う社員の国籍・文化の多様化に対する意識の底上げや人権意識の向上が今後ますます重要になることから判断をしています。また、当社グループが人権尊重を通じて社会にポジティブな影響を与えるためには、「多様性に配慮した情報発信や対応(広告・宣伝・接客・商品説明など)」を推進することも重要であると確認されました。これらは、人権リスクアセスメントを専門とする第三者機関から、当社グループの人権リスク特定のプロセスや取り組み状況、特に取り組むべき課題の客観的妥当性について評価を受けています。
今後も毎年定期的に、当社のバリューチェーン上でどのような人権課題が起こりうるかのリスクを整理・把握し、重要な人権課題を特定すると共に、特定された課題に対しては継続的に適切な措置を実施していきます。
特に重要な人権課題とリスク管理
特定した人権の重要テーマについては、以下のリスク管理の対応を進めています。
特定された人権の重要テーマ | 現状の対応策 |
原料調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握 |
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社内ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンおよび職場の人権 |
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多様性に配慮した情報発信や対応(広告・宣伝・接客・商品説明など) |
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Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)
労働慣行、健康と安全、環境、ビジネスなどに関する情報の共有と確認をバイヤーとサプライヤーで行なう世界最大規模の協働プラットフォーム。グローバルサプライチェーンにおける倫理的かつ責任あるビジネス慣行の促進を目的に設立。
第三者からの提言
人権デュー・ディリジェンスの進行にあたり、人権尊重の取り組みのためには、当社の視点だけではなく、社会からの視点も重要視しています。人権リスクアセスメントは、経済人コー円卓会議日本委員会の協力を得て実施しています。
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛 事務局長
経済人コー円卓会議日本委員会
石田 寛 事務局長
人権デューディリジェンスに関する取り組みについて
この度御社が実施した人権デューディリジェンス・リスクアセスメントは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に基づき、関連部署や第三者機関を巻き込みながら社会に及ぼす負の影響が大きい潜在的な人権課題をバリューチェーンに沿った形で抽出したことを確認しました。
今後は、直接対話を通じて顕著な人権課題を特定し、対処すること、そして現在のサプライチェーンを巻き込んだ苦情処理メカニズムを発展利用させていくことを期待します。
サステナビリティ推進体制
人権方針と推進体制
人権デュー・ディリジェンス
人権尊重の取り組み
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
従業員とともに
サプライチェーンマネジメント
内部通報制度について